2010.01.30
コスモ夢舞台冊子Vol.2を手にして
大塚秀夫

コスモ夢舞台第二巻の刊行おめでとうございます。
   「特集 アートの背景にあるもの」を拝見いたしました。薄い冊子ですが、中身はすごく濃いものを感じます。
   表紙には人が指している。いったい何を指しているのでしょうか。

昔の話になります。佐藤さんが初個展のときでした。銀座のギャラリーに作品を求めに来られた方がいました。ふらっと立ち寄ったのでしょう。佐藤さんの作品を見ていると力が湧いてくるというのです。聞くと自宅を火災で失われた人でした。そのとき、佐藤さんの教師の道を絶って、彫刻の世界に飛び込まれる。何かそんな生き方に感動し、私も作品を求めたことを今も忘れません。

このたび、里山アート展に出品までさせていただき、冊子にまで掲載していただきました。私はこの作品の制作に家内と長男と一緒に行きました。『地球と太陽』地球の磁気は太陽のコロナで乱されるのだそうです。しかし、それでも方位磁石は常に北を指していることの確かさ。危ういものは微塵のかけらもない。そんな太陽と地球の関係に感銘しました。だから、前述した表紙の空を指している指が心に留まったのです。また、夢紡ぐ大地を耕す。昨年、田んぼの再生プログラムに参加しました。冊子にあるように『山の上や狭い斜面に祖先が耕していた田んぼはあった。』田んぼの跡地にたどり着くまで何度、つまずきそうになったでしょう。耕作を放棄し原野と化した田はいずれも労働条件の厳しい場所にあり、踏み込むのも困難な場所だった。「こんなところに田んぼがあったのか」という驚きでした。佐藤さんの創造力は逞しささえ感じる。田んぼを再生するということで草刈りをする。刈っていると大きな石が刃にあたる。田んぼの棚の石が崩れ落ちてそれがゴロゴロしている。先人の苦労の何万分の一いや何百万分の一しか経験しえませんが、貴重な体験ができたことがよみがえってきました。このコスモ夢舞台はまさに大地に夢を紡ぐ創造を支えるのはまぎれもなく先人の農の精神そのものである。冊子を眺めながら、すばらしい夢舞台を与えられていることに改めて感謝したい。

荒地を拓き、種を蒔く手に、

自然は豊かな創造を授けてくれるだろう。

先人の苛烈な作業を、決して忘れないことだ