2007.01.10
御沓一敏
GO−ON

俳優の寺尾聡が60歳の還暦を迎え、同じ団塊の世代の人々に送る言葉として「GO−ON」という文字を色紙に書いていた。定年退職後もあまり気張らずに今までの延長線上でやって行けばという意味らしい。
そういう視点で退職後1年以上経った自分の足跡を振り返ってみた。

27年前、20名で会社を立ち上げるとき1メンバーとして参加した。しかし、特段に親しい仲間がいるわけではなく、技術屋集団の中にあってどちらかといえば、私は異質な存在だったのではないかと今にして思う。
当時は、日本中がアメリカに追いつけ追い越せという勢いで、皆で頑張れば右肩上がりの成果が期待できそうな夢のある時代であった。また、集団で力を発揮するのが得意な日本人のよさが際立ったときでもあり、「企業文化」の大切さが声高に唱えられていた。
なぜか、私はそのとき「企業文化」ということに関心を持ち、活躍の場をもらって、それなりに力を発揮することができたと思っている。

一方、ふくろう会にご縁があり、その活動もコスモ夢舞台へと広がったとき、「縄文文化」に出会った。
「縄文」は文化であって、文明ではない。「文化」は生き方、暮らし方そのもの。「文明」は技術と効率であるというある考古学者の言葉を聞いた時“わが意を得たり”と思った。

アメリカ的な効率を求め続けて登りつめた結果、混迷の度を深める日本の状況をみるにつけ、今、学んで実践すべきはこれではないかと思った。

よく、「九州・大分県出身の人間が何故、新潟へ行くのか」と尋ねられる。
“寒いのが苦手で力仕事が不得意な人間が”と自分でも思うくらいだから、他人様がそう言うのも不思議ではないと思うが、GO-ON、「文化」、今年もこの延長線上で気張らずに頑張って行こう。