2007/07/12
次の世代へ伝えるもの(5)

今、一時的に三郷(埼玉県)に戻っているので、毎日のように娘と2人の孫(男の子)たちがやって来る。
世間では、「総領の……」という言い方があるが、ご多分に漏れず、我が家でも3歳になる上の孫は、おしゃべりで甘えん坊、泣き虫で言い出したら聞かないときている。
下の孫は8ヶ月ではあるが、すでに反対の育ち方をしていて、おっとりとして、人見知りもせず、始終ニコニコとしている。

おばあちゃん(家内)は、毎日、上の孫に豊実の和彩館へ遊びに来る5歳のK君の話を聴かせている。
K君はお母さんしかいないし、昼間は働きに行っているので、甘えたり、泣いたりせず、我がままも言えず、大人のように挨拶もキチンとして、1人で何でもできる良い子といった内容である。

いつの間にか、上の孫の頭の中には豊実のK君の「良い子」のイメージができているようだ。事とあるごとに、K君だったら、どうするかと訊いてくる。
この子も赤ん坊の時は夜も1人で泊まっていたが、ある程度、分別がつくようになってからはそれもできなくなった。
「今日はおじいちゃんの家に泊まる」と言って何度も挑戦するのだが、休む頃になると必ず寂しがって自宅に帰ると言って泣き出す。その度に、送っていかなければならないので、誰もそのことを口にしなくなった。

昨日、久しぶりに自分から「“今日は良い子だったので”、おじいちゃんの家に泊まる」と言い出した。私をはじめ周りは、またかという顔をしたが、家内だけは違っていた。

今までは罰ゲームとして親から泊まりなさい言われてきたが、今日はK君と同じように“良い子だった”と誉められて、自分から言い出したのだから大丈夫だという。
特に、反対する理由もないのでその通りにした。結果、ちょっとぐずることはあったが、久しぶりに1人で泊まることができて、翌朝は自信ありげにさわやかな顔で起きて来た。

他愛もない身内の話と思われるかもしれないが、体験学習で元気になって帰っていく生徒たちもにも共通のことが言えるのではないかと思った。
罰則としてあるいは命令されてではなく、自らの意思で身体を動かし、一つのことをやり遂げる達成感と自信は自分の存在感につながる。その上、誉められればさらに輝きを増す。

このことは、子供だけではなく、全ての人間に当てはまるのではなかろうか。そのことを意識しながら、後半の体験学習に臨むつもりである。(御沓一敏)