2009.10.7
コスモ夢舞台とスローライフ
森 紘一

 豊実のコスモ夢舞台は、間もなく秋本番を迎える。10月10日の「2009奥阿賀・田んぼ夢舞台祭り」は、地元近在の老若男女が自然の恵みと実りに感謝し、歌と踊りで祝う豊穣祭である。            

   これは一日だけのイベントであるが、事前の準備には多くの人手と時間がかかっている。出演する8組のメンバーにしても、日頃の練習や鍛練の成果をご披露するわけだが、個人の能力だけではないグループのチーム力が発揮される。この仲間同士の支え合い、結束力がまさに戦力となる。ひとりで一気呵成にことを成し遂げる満足感とは別味の、コツコツと積み上げる共同作業による合わせ技は、これからのスローライフの真髄でありコスモ夢舞台にとっても大事な心構えである。
   
   また、数多くの県内外の見物客も見込まれるので、これを継続していくことで地元の恒例行事として定着させたい。何よりも、都市との交流や我々のモットーである‘感動ある人間交流’の場となりそうである。
   
   10月10日から開催される「第6回里山アート展」は会期一か月の長丁場である。出品していただく作家先生の想いは様々だが、我々としてはコスモ夢舞台の活動に共感や共鳴を寄せてくださる声が嬉しい。稲刈りを終えた大自然の田んぼに作品をならべること自体は主宰者・賢太郎さんの独創だが、作品の制作、搬入、搬出といった工程を見事にこなしていくアーチストの皆さんと賢太郎さんのエネルギーには感心してしまう。  

   作品からほとばしる主張に想像をふくらませながら、‘本物とむきあう’喜びを体感できる里山アート展は、非日常の世界を身近にひきよせている。そのせいか、会期中の会場周辺の空気はいつもおだやかに澄んでいる。                          

里山アート展会場周辺の田んぼにはいくつかの池や小川がある。「ビオトープ夢舞台づくり」は着々と進められている。ホタルの棲息もみられ、この夏には古代ハスも開花してメダカの棲む小川づくりもほぼ完了した。

   しかし、阿賀野川を望む景観づくりや田んぼの畦の草刈り作業は予想以上の作業量であった。地道な日常の作業で対応していくほかないが、これが一番の難題である。
   ‘ひとりひとりが輝く’ことを旨とするコスモ夢舞台のこれからのスローライフにとっても、人手を確保する方策を考え、継続、維持の可能な範囲から少しずつビオトープ夢舞台づくりを広げていくことは肝要のようである。

 コスモ夢舞台が勧める体験教育は、いわばスローライフの推奨である。科学文明の恩恵を受けて、便利で快適な生活を身につけてしまった我々の生活習慣病を立て直すことが主目的である。賢太郎さんの言葉を借りると「人間力の回復」のということになる。
 
   なかでも中・高校生を迎える和彩館の「体験学習」では、早寝、早起きと挨拶の慣行、身体を動かし汗をかくこと、自然と食べ物に感謝の気持ちを忘れないことを徹底して教え込む。コスモ夢舞台にとって、「体験教育」は大きなテーマであるが「食とビオトープづくり」と同様に日常的なテーマである。                       

コスモ夢舞台とスローライフな生き方にとって、アートのある暮らしは安らぎと活力を生むと実感しているが、これからは賢太郎さんを中心に仲間と共に、さらにそんな余韻を楽しんでいきたいとおもう。