2009.02.14
日本に向けられたヨーロッパ人の眼6
佐藤賢太郎

本来なら「日本に向けられたヨーロッパ人の眼」の紹介を、ここから書きはじめるのが妥当だったようです。即、準備のため動き始めて順序が後先になりましたが、EU・ジャパンフェスト日本委員会のプロジェクトが目指すところを皆様にもお話しておきます。

この写真プロジェクトの正式名は「日本に向けられたヨーロッパ人の眼・ジャパントウデ゙イ」です。既に日本全国各地で10回実施しており、その目指すところは以下であります。

1.日本人にとって異文化から見た日本人の姿に接し、私たちが日常生活で見すごしていたものや、見えている のに見ていないものに改めて向き合う機会となる。

2.  ヨーロッパの人々にとって日本人、日本文化の存在に目をむけ、同時に人間の根源的な次元での共通性を考える機会となることを目指す。

3.   国を超えたネットワークの形成に向けて

4.   日欧双方にとって写真撮影写真展を通し日欧の対話が重ねられることの大切さ。

5.   文化遺産としての作品を遺すこと

6.   詳しくはEU・ジャパンフェスト日本委員会のホームページに掲載されています。

私はこのことにどう向き合って行くべきか、その受け止め方や過程を「日本に向けられたヨーロッパ人の眼5」までに書かせていただきました。それは試行錯誤の連続のようなものであります。

 「1.日本人にとって」のところに「見えているのに見ていないものに改めて向き合う」とありますが、現代社会に生きる私たちは、あまりにも流されて人生を過ごしていないかと常々感じています。それぞれの立場の人間が、地位や利害や打算、保身が先行し、ものごとを純粋に若いときのような感じる力をなくしてしまい、ひたすら守りに入る脚本を作っていないか、そうして人生に幕を閉じてしまうのではないかと勝手に思っています。

私はコスモ夢舞台という現代の桃源郷を仲間とともに郷里に創ろうとしている。その過程は長く、すでに13年以上が過ぎています。その間、地元地域の皆さんには理解し難いところが多くあったことを感じております。また、日本中が閉塞していると誰もが言うが、ではどう生きたらいいかという大志や理想、実行力があるのでしょうか。まさにそこに、見えているのに見えないものを感じるのであります。何も異文化の人間でなくとも感じます。都会に住み過疎の田舎に帰ってきて感じる、周囲との温度差もその一つであります。この地域に限らず、日本全体も同じようなところがあるようにも見えるのです。

慣れにならず、ヨーロッパ人が日本人と違う視点から利害やとらわれもなく素直に感じたものを切り取ったのが本写真プロジェクトでもあるのです。

不況で雇用がままならない、予算がないと困っているのは日本ばかりか世界中もそのようであります。だからこそ写真に限らず、新鮮でとらわれのない生き方を見直すことが必要だと思うのです。

2番目に、ヨーロッパ人が日本文化や日本人に関心を持つ機会とありますが、まさにそのことは写真に限らず、その過程のなかで村の方との歓迎会で実現しました。このことは1番目と重ね合わせ、目指す目的にかなっていると感じております。

村の方がこんなに近くで外国人と会話しあう機会を持てた、これは新しいものを受け容れる体験ができたことだと思いました。「昨日は楽しかった」と村の方の声が聞こえてきたことが嬉しいことであった。役所の方々にも、ぜひこれからも柔軟に対応していただけたらと思う次第であります。

   始まったばかりでありますが、新潟県で開催される本プロジェクトが、苦労もありますがこれからどんな形で進むか楽しみでもあります。