2010.03.17
みそ造りは愛がすべて
大塚秀夫

今年も石夢工房でみそ造りが行われた。田舎の暮らしの体験が乏しい私のような都会暮らしのものと地元住民の方とみそ造りで交流できるイベントは楽しみである。

味噌は日本の発酵文化である。伝統的には日本の食生活における蛋白源でもある。主な原料は大豆である。製造に際しては、麹が増えると甘味が増し、大豆が増えると旨味が増すとされるが、温暖多湿という日本の国土条件の中で職人技だそうだ。

地元のお母さんよりマキ子さんに確実に伝承される。今年は若いお母さんの参加もあった。彼女は明るく屈託のない人柄である。直径85cmの大鍋でゆでた大豆をモーターしかけのみそ切り機で砕く。冷ますために2か所でビニールシートに広げ冷ませる。これに麹や塩が均質に混ぜ合わせる。この作業のとき、彼女が眞室川音頭を歌いだした。すると女衆がみんなで歌いだす。手で混ぜながら歌が出てくる。作業が乗ってくる。民謡で調子が出てきた。この歌詞がいい。

私しゃ真室川の 梅の花 コーオリャ
あなたまた このまちの鶯よ
花の咲くのを 待ちかねて コーオリャ
蕾のうちから 通って来る

蕾のうちから 通っては見たが コーオリャ
ひらかぬ 花とて気がもめる
早く時節が 来たならば コーオリャ
一枝ぐらいは折ってみたい

夢を見た夢を見た 夢を見た コーオリャ
あなたと添うとこ 夢を見た
三三九度の盃を コーオリャ
いただくところで目がさめた(以下省略)

みそつくりは愛情がすべてという。『あなたと添うとこ夢を見た』という眞室川音頭だけでなく、富士の高嶺も歌われた。この歌詞の合いの手がこれまたいい。楽しみたい人はぜひ、次回参加しましょう。

そして、いよいよ、直径75cmのみそだるの中で大豆を煮ただしを加えて十分にこねていく。ここで煮汁の量、柔らかさ具合を指導役のお母さんがこれまでの経験がものを言う。  愛情を籠めながらハンドボールくらいの大きさにする。そして、樽の中に思いっきり叩きつける。叩きつける加減が女子衆によってまるで違う。強く叩きつける女子衆は憎き相手(誰でしょう)を想像しているかのように感じたが、それは樽の中に酸素が含まれるといいみそはできないそうだ。叩きつけるような行為 も実はおいしいみそを食べさせてやりたい愛情なのだ。

みそ造りと並行してみそ蔵も作られた。奥行が160cm、間口が1800cmという広さ。

しかも内装に天井に壁にと断熱材という凝りよう。床は板張り。使い勝手がすごくいい。

「みそ造りは愛情がすべてだ」と女子衆は口ぐちに言う。すばらしいみそ蔵にみそ樽が運ばれた。ここで、じっくりと半年間寝かせる。

コスモ夢舞台には愛がいっぱいこぼれている。