2015.10.29
「里山アート展」最終章
森 紘一 

 第12回「里山アート展」のフィナーレ(10月24〜25日)には東京ブロックから8名が参加、魅力的なメニューがたっぷりで、それぞれに豊実の秋を満喫することができた。わたしにとっても、それは今までにない醍醐味だった。 

汗ばむほどの秋空のもと、東北道を郡山から磐越道に入り、うっすらと色づきはじめた豊実に着いたのは24日(土)の13時前。例によって「お帰りなさい」とマキ子さんに迎えられ、ひと仕事終えた先着組と定番の天ぷら蕎麦をいただいた。佐藤さんを中心に仲間たちと「和彩館」の円卓を囲むと、何故か気持ちが落ち着く。

   嬉しい発見もあった。新たに飾られた長田良夫さんの「はな子」は、赤を基調としたシンプルな絵柄の大作で、これがまた「和彩館」にぴったりハマって、温かい雰囲気をかもし出している。 

13時半過ぎ、「外山しのぶ 歌声ひろばとミニコンサート」が和彩館ではじまった。外山しのぶさんはソプラノ歌手で、「コスモ夢舞台賛歌」(作詞/佐藤賢太郎 作曲/中島由美子 編曲/斉藤理恵子)に関心を寄せられ、皆さんと歌ってみたいと自ら企画されたという。

ありがたい話である。プロの歌唱指導で「コスモ夢舞台賛歌」だけでなく、懐かしい「ふるさと」や「里の秋」、「あざみの歌」などを地元の人びとと一緒に合唱した。

「背筋を伸ばし、胸を張って声を出すことは健康にも良いですよ」外山さんの明るい笑顔には説得力がある。我々もこれからは、「コスモ夢舞台賛歌」を機会あるごとに歌いこんでいきたいものである。

 15時からはアート展の会場で、渡部恵美子さんを中心とした県内外の若手パフォーマンスダンサーのコラボ舞踊がはじまった。ステージ前、その奥、通路を挟んで左手下段の田んぼと作品群を巡回しながら、彼らの楽器演奏やラップ、舞踊は三部構成で繰り広げられた。すべてが即興によるアドリブというが、彼らのドラムやラップを聞いていると、大自然への畏敬や天地の恵みへの感謝の気持ちが伝わってくる。気持ちよさそうに踊り、舞う、彼らの表情はいかにも楽しげで、アート展の作品に溶け込んでみえる。

時おり風に乗って雨粒が落ちて来る。夕闇の中で、かがり火を手にした舞いが終わるまで、雨は何とか持ちこたえてくれた。

作品の撤収作業は明朝に廻して、和彩館に戻って5時半から交流懇親会がはじまった。

10名を超える若手パフォーマンスダンサーの皆さんは表情も快活で、これからもコスモ夢舞台の「里山アート展」会場で踊りたいと、口々に熱い思いを語る。我われも豊実の地が、皆さんにとってかけがえのないステージとなっていくことを願っている。開催日と時間を調整して、見物客の動員も図りたい。今回は渡部さんの呼びかけで、初参加の方も多かったが、過疎の集落に灯った希望の光を、ぜひ大きく育んでいただきたいとおもう 

翌朝25日(日)、昨夜の雨は上がっていた。早朝6時に集合してアート展の作品撤収作業を開始、一時間半でほぼ完了した。7時半から朝食、8時には豊実を発って津川に向かった。 

9時半からは、津川の「ふるさと交流川屋敷」で佐藤賢太郎講演会が開かれる。浦和や新潟市内など講演活動には実績のある佐藤さんだが、地元の阿賀町では初めてである。

「感動ある生き方と健康」の会場には30名近いお客様にお集まりいただいた。写真を多用してスクリーンに映しながら、会員や出席された皆さんにも話をふるというアットホームな講演会は、終始笑い声が絶えなかった。アッという間の2時間だったが、「とても楽しかった」が皆さんの感想だった。

 会の終わりに、和彩館店主のマキ子さんが挨拶をされた。佐藤さんと我われにとって、

食を賄ってくれるマキ子さんの存在は大である。進行役の大塚さんの機転で、講師の佐藤さんに用意されていた小さなバラの花束を、佐藤さんからマキ子さんに手渡すよう促されて、佐藤さんが戸惑うという一幕があった。

 「ありがとう!」照れたような佐藤さんの横顔と感謝の一言は忘れがたい。その時、会場の拍手も一段と大きかった。 

 そのあと、出席された皆さんと一緒に,大広間で昼食をとりながら歓談をし、外へ出てから紅葉の麒麟山をバックに佐藤さんの作品「狐の嫁入り」前で記念写真を撮った。

 18名の皆さんで、「来年も、またお会いしましょう」と和気あいあいのお別れとなった。ぜひ来年も「里山アート展」のフィーナーレは、第2回「佐藤賢太郎講演会」を地元津川の「ふるさと交流川屋敷」で閉めたいものである。 

 復路は高速にのらず、49号線を会津若松まで上り、118号線から下郷に入り、那須高原を抜けて矢板から東北道に乗った。大野さんの先導に2台が続いて、紅葉の真只中をドライブした。素晴らしい絶景の連続は、アート展の最終章を飾るにふさわしい最高の思い出となりました。