2014.02.18
雪蛍の舞い
森 紘一

 2月16日(日)早朝7時、東京駅を出発した上越新幹線は50分遅れで新潟駅に到着、接続する会津若松行きには間に合わなかった。やむなく新津に出ると、旨い具合に大塚さん、古田さんと遭遇。三人そろって11時半の磐越西線に乗ったが、今度は下り列車との待ち合わせが多く、結局豊実に着いたのは午後2時半だった。

 我が家を5時半に出てから約9時間、記録的な大雪と強風の影響をもろに受けた長い汽車の旅となった。しかし新津からの道中は、雪景色を眺めながら格好の語り合いの場となって盛り上がった。助成金について、アート展について、ギリシャの絆プロジェクトについて、ソチオリンピックの日本選手の活躍について、コスモ夢舞台のこれからについて、話題は尽きず、飽きることはまるでなかった。

 豊実に着くと、午前中は雨だったというが、ときおり粉雪が舞う程度の上天気。佐藤さんとマキ子さんに訊くと、去年に比べて雪の量はまるで少ない。そんな中で、「わけじょの会」とバス仕立てで参加した

新潟大学Gグループの皆さんが黙々と会場づくりに励んでいる姿が頼もしい。思わず、こちらも顔がほころぶ。新潟市内から参加の小宮さん、喜多方の塚原さんも元気に作業に加わっていた。

 里山アート展会場の線路側斜面に“ユキホタル 2014”の赤い文字が灯ったのは午後5時半を過ぎた頃だったろうか。辺りの暗闇がますとともに、ちょうどアート展の会場全体にロウソクの灯でデザインされた雪の結晶が、次第に明るくくっきりと浮き上がってきた。その小さなコップの中で揺らぐ炎の全景は、なるほど一面の銀世界に舞うホタルに見えてくる。

 「きれい!」「すごい!」の声が飛び交い、あちらこちらでフラッシュが焚かれている。新潟日報の記者も取材に駆けつけてくれたようだ。

  「ふるさと雪蛍の舞 2014」を主導した山口啓治さんをはじめ、「わげしょの会」の幹部と新潟大学Gグループの皆さんの連携プレイは見事だった。今年で4回目になるそうだが、事前の準備を含めて大変な労力を払われたものと思う。出来栄えもさることながら、一連の協働作業に知恵を絞り、汗を流した二人三脚そのものに大きな価値があると思う。過疎の集落に咲いた若者同士の大輪は、絶えることなく継続してほしい。豊実に新しいタイプの恒例行事が定着することは、我われコスモ夢舞台にとっても共通の喜びである。心を込めて、エールを送りたい。