2010.05.18
新たな構想生まれる
佐藤賢太郎

体験学習が始まって、鈴木隆雄さんがコスモ夢舞台にやってきた。そこに経験豊かな大江さんが加わり、楽しそうに生徒たちと仕事をこなしてくれている。千葉から来た生徒たちは間伐の片付け作業をしてもらうことにした。鈴木さん大江さんの指導の下、瞬く間に杉林はきれいになり、片付けは全て終わっていが林がきれいになっていると噂になり始めているようだ。一番手の入っていない林が我が家の林だったのが、今後はうつくしい林になりそうだ。  

このきれいな林を利用してアートを展示してもいい、今後この林を新たな夢を語るところになりうるかもしれない。

新たな構想とはそのことではない。「中道木」と言う字名の仕事場前の急斜面にかつて田んぼがあった。昨年は田んぼ再発見としてそこに何十年ぶりに稲の苗を植え一応は実った。しかし日当たりが悪いので収穫は11月末になり稲の収穫管理に適さない。そこで今年5月の連休に仲間が集まった時、その田んぼに水芭蕉を植えた。そこは水溜りになっていて「おたまじゃくしが一杯で嬉しかった」と鈴木さんは生命の生息する感動を語っていた。

ほかに田んぼ再発見として「朴の木坂」というところに我が家の田んぼがある。ここは既に原野になってしまっていたが、昨年ここを仲間と共に田んぼの原型を見えるようにした。ここに水芭蕉を植えた。さらに水を引いて多くの水芭蕉地にしようと手を入れた。

水が溜まるところに生命は生まれる。生命の原点を見るようだ。懐かしい糸トンボやイモリなど、かつて目にしていたいろいろな生物を見ることは嬉しいことである。何も宇宙や月にばかり目を向けるのでなく、足元を見つめなおすことも大切なことだと私は思う。             

効率化の時代の中で失っていくものがあまりにも多い昨今である。もう一つ字名「島」かつて田んぼであった。不便で労力がとても厳しいので田んぼをやめたのであろう。今はここは我が家の田んぼ跡が残り、周りはみんな杉林になってしまっている。ここはどのように利用しようか決めかねいていた。鈴木さんと酒を飲み交わしながら方向が見えてきた。

新たな構想とはパイプで沢の水を引いて、田んぼだったところを池にしようと考えに至った。果たしてこの池にどんな生物が棲むことになるのだろうか、今から楽しみである。この土地の前には阿賀野川が滔々と流れている。モリアオガエル、イモリ、サンショウウオの棲みかとなるだろうか。そうなるには伐採やパイプの配管などやはりかなり労働をすることになる。理想を語れても実現には実行力が肝心である。              

「こんな風景で尺八を奏でたら面白いでありませんか」と、思わず私は鈴木さんに言ったものである。