2011.02.01
取手アートシンポジウム
森紘一

 122日(土)、取手市の福祉文化センターで開かれたシンポジウムを3人の仲間と傍聴した。
  
  EU・ジャパンフェスト日本委員会からご紹介いただいた案内には、「芸術家の暮らす郊外都市で『半農半芸』は可能か」という変わったタイトルが付けられていた。

 『半農半Xという生き方』の著者 塩見直紀さんの基調講演の後、塩見さんを含む学者やアーティスト、行政官など7人のパネリストによる討論が続いた。気がつけば、会場には100人近い聴衆が集まっていた。

 主催者の取手アートプロジェクトは1999年のスタートで、昨年11月、その中核部隊としてNPO法人 取手アートプロジェクトオフィスを設立したそうである。

首都圏から近く、東京藝大の取手校舎を抱えるという利点を生かして、農とアートを取り入れた新しいライフスタイルの提案をさまざまなプログラムを展開しながら探っているという。

 塩見さんによれば、より人間らしい生き方と持続可能な社会を求めて「農」と「天職」のある暮らしをめざす若者はふえているという。

 自分が食べるだけの「小さな農」をベースに、自分の好きなこと、得意なことでいくばくかの収入を得ることができれば、自然環境や他人を思いやることのできる社会が築けるのではないか、という指摘は素直にうなずける。
 それだけに、彼らをとりまく既成の大人社会が壁とならないような環境づくりが望まれるところである。

 ところで、コスモ夢舞台は今年のイベントに「田舎と都市のフォーラム」を組みこんでいる。佐藤さんは「新年の抱負」で、“田舎の魅力は地元だけでは創れません。その地域にあった田舎を考え、都市との交流があって相互の活力に繋がるものと14年間の実践から確信しました”と述べている。

 アートや芸能の鑑賞、自然散策、安心・安全な食品づくり、食とエクササイズ、ビオトープづくり、体験学習など、身近なテーマを都市の人びとと話し合い交流することはさらなる前進となりそうである。

 同時に、我われもまた全国の地域社会で活躍中のNPOや各種団体の人びとと接触することでお互いに刺激し合い、元気な日本を蘇らせることにつなげていきたいと思う。

コスモ夢舞台は、それこそ小さな地方区のNPO法人だが、考えていることと方向性は間違いなく全国に通用する先駆性を備えていると思う。

 シンポジウム終了後の会場でEU・ジャパンフェスト日本委員会の古木事務局長、箱田さん、松澤さんともども、新しいNPOの理事の方々や事務局の若手の人々とお話をさせていただく機会が持てたことは貴重だった。先日、麹町の事務所でご紹介いただいた我孫子野外美術協会の会長、事務局長にもご挨拶ができた。

 EU・ジャパンフェスト日本委員会の配慮で、資料用のテーブルに置かれた「コスモ夢舞台冊子」Vol.3の30部は、一冊も残っていなかった。