2009.12.
2009.12.20
ギリシャ旅行参加予定の皆様へ

坂内克裕

 私は、喜多方市の坂内克裕と申します。旅行参加予定者の中では、佐藤賢太郎先生の知遇を得ることができたのが、一番最近かもしれませんので自己紹介させていただきます。
 私は、数年前まで福島県職員でしたが、健康上の理由で早期退職して、今は家業の農業をしています。基本的には米農家で、畑は白菜の契約栽培を少ししているだけで、あとは自家消費です。
 
 知人に「ギリシャからの手紙」を読むようにすすめられて手に取ったのは、今年の8月でした。冒頭の「仕事で行くのだからビジネスクラスだろう」のあたりから物語に引き込まれ、一気に読み終えました。
 私が感動したのは、いきなり、言葉が通じず生活習慣も違う、物事も思うように動かないという状況に放り込まれながら、これを受入れて楽しむ強靭な精神力。そして、「単に作家として作品を作りに来ているだけではない。」「私は親善の意味でもここにいる。」という、揺るぎのない地歩。さらには、石がなかなか届かず道具も揃わないという悪条件下でも、仕事をやり遂げる不屈の魂でした。そのとき先生は、今の私と同じ57歳だったというのにも、驚きました。
 読み終えて一番最初に思ったのは、遥かなギリシャの地に、「青い空と強い太陽の光が射す中」、青とエメラルド色のイオニア海を見つめて立つゴルゴーナの、白く輝く大理石像を見に行きたい!というものでした。
その次に思ったのは、佐藤賢太郎その人にお会いしたい!というものです。この希望を、本をすすめてくれた知人に言うと、ちょうど御あつらえ向きの研修があると、すすめられたのが10月14日~16日に阿賀町で行われた電源地域振興センター主催の研修で、ここで私は初めて先生にお会いすることになりました。
そのときの状況は、コスモ夢舞台のHPにも「里山アート展見学風景4」で紹介されていますのでご覧いただきたいと思いますが、とにかく初対面の私に、午後の半日間付ききりでご案内いただいた上に、3月にギリシャにゴルゴーナ像を見に行く企画がありますが一緒に行きませんかとおっしゃって下さったのです。私は驚いて「えっ、私でもいいんですか?」とお尋ねしましたら、「『ギリシャからの手紙』を読んで感動したという人には是非行ってもらいたい。」とのお答えで、私が「行きます!」と即答したのは言うまでもありません。

このような訳で、私もギリシャ旅行に参加させていただくことになりました。参加予定の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、私が今回のギリシャ旅行に期待していること、それは3つあります。1つは、もちろんゴルゴーナ像を観ることです。
いったいどんな様子で、先生の彫刻が私達を迎えてくれるでしょうか。私はこれまで、「彫刻家佐藤賢太郎」をまったく知りませんでした。そこで阿賀町の研修の前後に、喜多方市立美術館や喜多方プラザ、コスモ夢舞台のHP、足利ギャラリーの個展などで先生の作品を観るうち、裸婦像の、胸はそれ程でもないけれども、どれもお尻が大きくどっしりとしていて、まさに母なる大地を連想させ、とても美しく好ましいと感じる私に気付きました。先生は本の中で「スタイルの美しい女性ばかりがいっぱいいて、私の前を通っていく。ミロのビーナスのようなスタイルである。(中略)彫刻をしながらモデルが前を通っていくと、よしもっと腰はくびれさせ、お尻や胸を大きくしようと変更してしまう」と書かれていました。作家がビーナスのような現地の女性たちによって日々受けた影響が、どんなふうに作品に表れているか、とても興味があります。
2つ目は、料理とワインです。先生は本の中で「食事は全てオリーブで味付けされている。そして、チーズはみんなしょっぱい。初め、ヤギのレタチーズはしょっぱくて食べたくなかった。しかし、仕事が始まってからは食べるようになった。気候風土が食べ物を決めていくようである。」と書かれています。私達はわずか一週間という日程なので、「気候風土が食べ物を決めていくよう」だという体験は無理にしても、先生が毎日食した、ビーフにサラダ、ヤギのチーズにパン、それにワインを味わって、ギリシャを感じてみたいと思っています。
3つ目は、リオシス氏をはじめとして、先生がギリシャ滞在中に言葉の壁を乗り越えて心で理解し合い、親交を結んだ人々にお会いすることです。私はまだ、先生にお会いしてお話したのは三度しかありませんが、先生はいつも全力でまっすぐ目を見つめて話をされます。話の内容もさることながら、その全人格的な接し方に、私はいつも心打たれます。そして、先生のまわりにふくろう会のメンバーをはじめとして、たくさんの人々が集うのもしかりと肯けるのでした。今回、そのような先生のひととなりが、ギリシャの地でどんな親交の輪を結んだのか、ここも興味のあるところです。

さてそれにしても、以上のような興味を満足させるには、先生がおっしゃるように、ギリシャ語を少しでも覚えて、現地の人たちと挨拶ぐらいは出来なければならないでしょう。出発まであと3ヶ月、少しは勉強して行こうと思っています。