2014.1012
ブルックを想う3
佐藤賢太郎

 ブルックさんは多くの方に力を与えたように思う。本人はそんなつもりはサラサラない。私も元気を頂いた中の一人かもしれない。ともかく、どこに行っても人気があった。きっと将来は何かをなし得る人になるであろう。

今日は新発田で開催初日アウツーラスの写真展に連れて行った。行く道はほとんどしゃべらない。それでもいいかと無言であった。オープニングの前に新発田城を見学したが大変喜んでいた。

 私は写真展会場の金升酒造会社でアウツーラスエグレさんと懐かしく再会ができた。博進堂の清水伸社長とも出合い、彼女がいたお蔭で会話が弾みました。

「佐藤さんは日本のお父さんのようだね」と語る社長はブルックの逞しさにも感じ入ったようです。ところで、展示数の少ない写真の中で豊実の味噌つくりの写真が3点あった。彼女の笑顔から、とても満足している様子が分かった。

帰りの道々、相変らず自分から何も話さなので私から話した。あなたはかぐや姫のようである。しかし、彼女は日本の「かぐや姫」という物語は知らないようなので簡単に説明した。

竹から生まれた可愛い少女はやがて美人になって、世の男性から引く手あまたとなった。しかし、彼女の運命は決まっていた。生まれ故郷の月に帰ってしまうのである。まるで、あなたのようだと私は伝えた。

人気があるのは男性ばかりではない。いつも厨房のお手伝いをして下さる長谷川マリコさんは、どうしてもブルックにお土産をあげたいと言って夜、和彩館においでになった。お土産は、箸と「来たバスに乗れ」という小さな玩具のバスである。彼女は上手に箸を使うから。そしてバスは、私の講演「来たバスに乗れ」というタイトルの言葉が好きだという。その思いを込めて、私に伝えてという。

This toy has a meaning.  It is the “take the chance” bus. Many people have a chance of meeting. But, most people don’t get on the bus.  You are brave.

 最後に一期一会も教えた。またということはない。さようならブルック。私たちは精いっぱい家族で受け入れた。一期一会に悔いはない。