2010.02.06
トークショーと懇親会
森紘一

 暦の上では立春を過ぎたものの、吹き抜ける北風はさすように冷たい。
 日本橋髙島屋6階美術画廊で開催中(2/3~9)の佐藤賢太郎 石彫展会場は、5日(金)夕方4時を過ぎる頃から三々五々と人びとが集まり、トークショーのはじまる6時には60名近いお客さまでにぎわった。東京近郊はもとより、佐藤さんの郷里阿賀町豊実や会津若松からの遠来のお客さまもいた。

 オープニングは、鈴木さんのお仲間壺竹会(こちくかい)の6名による三谷菅垣(さんやすががき)の尺八合奏ではじまった。進行役の大塚さんもいつになく神妙だったが、個展会期中の画廊に響く哀調を秘めた音色は見事な演出効果となった。伝統を誇る日本橋髙島屋美術画廊さんとしても画期的な出来事だったようである(これで、売り上げが伸びるようなことになれば尚更だが)。
 挨拶に立った佐藤さんがいみじくも触れていたが、会場の小動物たちも心地よく聴き入っていたのではないだろうか。

 会場に並べられ、掛けられた50数点の作品解説だけではなく、その制作意図や背景を語る佐藤さんの口ぶりもゆったりとなめらかで分かりやすかった。石の彫刻とは別に、もう一つの創作活動としてコスモ夢舞台づくりを紹介するくだりでは、なぜ仲間と共に活動をはじめたのか、また続けていくのかを熱く語りかけていた。         
   EU・ジャパンフェスト日本委員会をはじめとする助成や後援、協賛各社への感謝とともに、いきおいそれは、我われコスモ夢舞台の活動への賛同や参加への呼びかけともなっていった。

 会場には、佐藤さんの母校芝浦工大の恩師もお見えになっていた。挨拶の中で、「私は教え子を先生と呼ぶのは初めてだが、佐藤先生は決して落ちこぼれ学生ではなかった。むしろ‘ふきこぼれ’だった。これからも頑張ってください」とユーモアーたっぷりに満面の笑顔で会場を沸かせていた。その後、東京鹿瀬会会長からもあたたかい祝辞と激励をいただいて閉会となった。

さらに冷え込みの強くなった7時半から、至近距離とはいえ会場を移した懇親会には34名の方々にご出席をいただいた。
 昨年の里山アート展に出品参加された、間地さん、吉田さん、会津若松の坂内さん、津川ご出身で東京在住の加藤さんの顔も見えた。
 ほどなく、森幹事長の進行で参加者全員の自己紹介がすすめられたが、初参加の方も含めて終始和やかな雰囲気だった。ふくろう会やコスモ夢舞台への期待、あるいは作家佐藤賢太郎さんへの注文など話はさまざまだが、ふる里へのおもいや人とひとのつながりやご縁を大切にする気持ちは皆さんに共通していることがうかがえた。

高齢化社会の問題は豊実や地方社会だけではなく、都市社会にとっても大きなテーマである。アートを軸に都市と地方の交流によるさまざまな活動で元気を取り戻そうという豊実のコスモ夢舞台もまだまだ道半ばではある。
   とはいえ、これからは佐藤さんではないが、我われの活動に共感を寄せてくださる団体や自治体にも積極的に連携を働きかけていく時機に来ているのかもしれない。   
   散会後のティタイムでは、そんなことを仲間うちで語り合い余韻を楽しむことができた。