2017.02.13
除雪ボランティア「スコップ」に参加して
古田 修一

  2月11日から12日にかけて、豊実地区で行われた除雪ボランティア「スコップ」に参加させていただきました。当日は、埼玉県では見ることができないほどの雪があり、驚きました。家の屋根には厚く積もっている雪。中には、半分落ちかけているような雪もあり、生活して行く上での危険も感じました。

 高速道路が雪のために渋滞していて、現地に到着したのは集合時刻の5分前でした。JR豊実駅前にある豊実会館に集合し、オリエンテーションが始まりました。オリエンテーションの中では、阿賀町の豊実地区の説明が役場の方からあり、地区の現状を知ることができました。高齢化が進む地であることは以前より聞いていたのですが、新潟県の中でも阿賀町の高齢化率がトップだということを初めて知り驚きました。中には、一人暮らしをされている高齢者の方も多くいるようで、冬はそういった方には、かなり厳しい生活になります。雪もかなりたくさん積もりますので、雪かきをすることができず、家の周りが雪で囲まれ、中には屋根の雪とくっついているようなお宅さえありました。都会では考えることのできない、大自然の中での生活の厳しさを、そのような様子を見て感じさせられました。

 今回のボランティアを通して一つ大きなことを学びました。それはボランティアをする側ではなく、受け入れる側の大変さです。受け入れる側のことを考えると、私のボランティアに対する考えを変えなくてはいけないと思ったのです。

今回は、NPO法人コスモ夢舞台がボランティア受け入れの窓口になりました。そこで今回代表の佐藤賢太郎先生からボランティアを開催するまでのお話を聞かせていただき、私のボランティアに対する認識がずれていたことに気づかされました。

 私は子どものときより、ボーイスカウトに所属し、ボランティア活動を行ってきました。困っている方をお助けするという意味で、自らの時間を割き、自分のためではなく人様のために尽くせるということでは、良いことだと感じていたのです。大人になった今でも、自然災害に会われた地域のために尽力したいと思っていました。私個人としては、相手にとっていいことをやりたいとの純粋な考えでした。

 しかし、その考えがまだ浅く、自分勝手な考えだったと気づかされました。確かに人様のために尽くすことは大切です。人間助け合わないといけないことが多くあります。しかし「自分が自分が」という考えだけではなく、受け入れの準備を進める地元の方のご努力や、ボランティアを受ける側の気持ちを感じないといけないと思ったのです。

 佐藤先生はボランティア開催に向けて、さまざまな動きをされたそうです。雪かきを受け入れていただくよう、区長様や、各ご家庭に説明をして回られたそうなのです。地元の方は、「自分たちのことは自分でやる」という考えのお方もいらっしゃいますし、「隣近所で助け合っていますから」、という方もいらっしゃるでしょう。中には、そのような労働を無償でしてもらうことに、申し訳なさを感じる方もいらっしゃるかもしれません。受ける側の理解もないと、このような活動はできないと感じました。

 また、ボランティアとして参加させていただく私たちのための準備も必要です。宿の手配、食事の手配、交流会のための準備など、私が考えるだけでも、相当の準備が必要です。

 そのような受け入れ準備の下に、私たちボランティアが参加することができるのです。自分がやりたいからできるわけではないのです。地元の人の気持ちももっと敏感に感じないといけません。

 東日本大震災や、熊本地震のときのニュースで、ボランティアセンターが立ち上がる前に現地入りする人がいるとの話を聞いたことがあります。確かに、何かお役に立ちたいとの気持ちも分かりますが、受け入れるための準備が整わないと、お互いにとっていいことにはなりません。今何が必要で、どのような作業が必要とされるのかなど、現状の調査や、地元の方の理解を求めて行くことが必要です。その作業が完了する前に「自分が」との気持ちで行くことが、逆に迷惑になってしまうと、佐藤先生の話から感じさせられました。

 今日本の教育では、ボランティア精神を子どもたちに伝えようとしています。しかし、その伝え方が誤っているのではないかと危惧を感じています。それは、高校入試における内申点として、ボランティアに参加している生徒のポイントが付けられるなど、本来のボランティアの意義を教えるのではなく、点数稼ぎのように使われているところです。(学校ではしっかりと教えているとお叱りを受けるかもしれませんが、そう考えている生徒は多いのです。)

 今回の除雪ボランティアを通して、その本来の意義の一部を感じ取ることができました。これは、学校では決して教えてくれないことでしょうし、体験しないと分からないことだと思います。(実際私も反省させられました。)私も塾を経営している教育者の端くれですが、本当の意味でのボランティアを子どもたちに伝えていくヒントを今回の活動から与えていただきました。

 本当にありがとうございました。