2012.08.20
釣り人
佐藤賢太郎

8月19日首都圏から魚釣りのため事前予約をされていた二人の釣り人が和彩館に宿泊されました。

夕刻に到着して即、桃源の湯入っていただき満足していただいた。さて、食事はともにすることになってよもやま話となった。聞くところによりますと、二人とも銀行マンでした。見た目とは裏腹に、とても厳しい仕事内容であるようです。

冒頭、私は作家として生活していると話していた。

「ご主人は違うと思うが、先生とか医者、作家の人は専門分野で走っているかもしれないが、常識というものがない人種と思えてならない」と言っていた。

「さもありなん」と思う。日頃はビルに囲まれた中での生活に追われ、自分の判断で一企業の運命、個人の運命まで左右する仕事であったり、あらゆる業種の人と接して人生の裏表を感じているそうです。人生の幸せというのは、豊実のようなこんなひなびたところにあるのでないかなど持論を述べあって食事をしました。

仕事柄、政治家などとの付き合いも多く、「あの政治家はこんなことを言っている」等などオフレコの話はいろいろあるが、あくまでも仕事としての領域を超えないようにしているそうです。

仕事から帰るのは夜11時12時がざらで、家庭崩壊、離婚、自殺、病気になる方も多いようです。収入はあるが失うものも多いとしみじみ語っておりました。お二人とも元気でいられるのは、気分転換やストレス解消が上手いからだと思う。

その秘訣は何も考えず自然の中に身を置き、釣りをする。そのために豊実の実川のようなところで渓流釣りをするそうです。釣りと言っても、危険が伴うような釣り場である。家族には、どうしてそんなところに行くのかと理解してもらえないようである。

最後に嬉しい言葉をいただいた。「ご主人の眼が輝いていますね。魚は一匹しか釣れなかったが大きな収穫があった。それはご夫婦に会えたことである」と言って帰宅されました。

こうして実体験者と話をしながら、わが人生を振り返り生きることを考えさせていただくことは楽しいものである。人生がまだ始まったばかりのフレッシュな昨日の大学生とは、一味違う趣である。

魚釣りならぬ、田んぼの稗刈も無心になって刈り取る作業。できることなら、これもストレス解消の気分転換にしたいものです。