2010.07.15
ツバメ
佐藤賢太郎

ふるさとから消えゆく風物。蛍が飛びかう風景。めだかやドジョウが小川や田んぼから消え、沢蟹も見られなくなった。そしてもう一つ、ツバメが土間の玄関に巣を作っている風景も見られない。

我が家でも子どもの頃、ツバメは季節になると南から飛んできて玄関に巣を作っていた。ツバメが巣を作る家は縁起がいいと言われている。

   ところが家が新しくなり、土間がなくなって玄関は狭くなった。外壁にも巣を作るところが見つからなくなって、ツバメが玄関に巣を作らなくなった。壁にツバメが巣作りをしやすいようにしてみたが、そこには巣を作らなかった。

   しかし、毎年家の中に何とか巣を作ろうとツバメが家の中に入ってくる。ツバメの糞が飛び散るのが嫌で、そのたびに追い出していた。

ところが今年、外玄関の雨の当たらないところにツバメが巣を作った。
家内は子育てするツバメの親子の様子をとても楽しみにしている。親がえさを運んでくるたびに4羽の子供がキイキイと鳴く。親は夫婦で順番に子供に餌を与えている。子供は糞を外に向け排便している。そのたびに敷いた新聞にぺたりと落ちる。      

果たして、いつ子供は巣立つのだろうかと楽しみである。こんな風景が見られるのは何年ぶりだろうか。