2008.05.19
引き揚げ屋か

 この春、2回目のレスキュー隊出動要請が出た。里山アート展会場の田んぼで田植え作業をしていたコスモ夢舞台・農業担当のFさんより電話が入る。1時間掛けて山から歩いてきた人が、車が落ちたので、引き揚げて欲しいと言っているとのこと。

 どこかでお見かけしたような気がしたが、それはさておき、当事者とFさん、筆者の3人がトラックに乗り込み、まず、夢工房で佐藤さんより大きめのロープとチェーンを借りて現場へ向かう。新渡の集落へ行く道路の山を登りきる手前の空き地に車を止めようとして、そこが泥濘であったため出られなくなったらしい。

 新しい乗用車は、余りこのような時の配慮はしていないらしい。わずかに穴の空いたフックらしきもの以外はロープを掛けるところがない。この場合はフックの付いたチェーンが役に立った。車体に傷が付かないようにチェーンに座布団を巻きつけた後、トラックで引っ張るとなんなく抜け出すことができた。

舗装はされているが、新しい橋ができたため、山林や畑を持つ地元の人しか通らない山道、どんなにか不安であっただろう。何度もお礼を述べられ、山を降りて行かれた。帰ってみると、その方は和彩館にいらっしゃった。

何と、4月の末日にもお見えになり、筆者が美術館へ案内したとのこと。また、Fさんと同じ亀田(新潟市)の方だとのこと。ここを訪れる人は、何か不思議な見えない縁で結ばれているようだ。

まるで、引き揚げ屋だね。必要な道具を一式用意して置かねばとは佐藤さんの弁。“情けは他人の為ならず”、“二度あることは三度ある”いろいろな教訓を残す一件であった。(御沓一敏)