2007.10.05
鯉太郎との友情?

このところ、地元のお助けマンFさんの釣り竿に良く鯉がかかるようになった。石夢工房の池に1匹、田んぼの池に3匹入った。
今回のものが一番大きいのだが、針を深く飲み込んだらしく、弱っていた。
早速、山から来る水を貯めるタンクの中(人間の病院で言えばICU―集中治療室)へ入れる。と言っても、水がきれいというだけで、治療が施せるわけではないので、すぐに、効果は表れない。

午後、行ってみたが、さらに症状は悪くなっており、口を少し開いてやっと息をしているような状態である。
ふと思いつき、縄文人になったつもりで筆者なりの手当てをして、後はひたすらお祈りすること20分。奇跡的にも胸鰭がピクリと動き、口を大きく動かし始めた。

付きっ切りでいるわけにも行かないので、仕事をして、区切りが付いた夕方、様子を見に行った。横になったままであるが、何と、物音に反応して、身体を動かそうとした。
身体を突付いて刺激を与えてみた。依然として、横のままだが泳ぐ様子を見せた。
この状態を続けていると、寝たきりになると思ったので、無理やり起こしてみた。傾きながらも自力で泳ごうとしては倒れる。これを何度も繰り返しているうちに本格的に泳げるようになった。

池に入れてやったが、泳ぎがぎこちない上に、なかなか沈まない。驚かせて悪いと思ったが、ドーンと足踏みをすると滑るように静かに深く潜って行った。
田んぼの池の水はまだ濁っていて中は見えない。もう鯉の姿を見ることはないかもしれないと思うと、元気になってよかったという想いとは裏腹に、少ししんみりとなった。
そこでとっさに、この鯉に「鯉太郎」と名前をつけて「元気で頑張れ!またお会うね!」とコエ掛けをしてその場を離れた。

翌朝、恐る恐る池をのぞいてみた。わずかに魚の泳ぐ波が輪を描いている。鯉太郎に違いないと思って、「鯉太郎、おはよう!元気になってよかったね」とコエをかける。
他の2匹は全然姿を現さないのに、この鯉だけが背中を出して泳ぎ、実にお茶目な行動をする。上空では、トンビや鷺が飛んでいるのが少し気がかりである。

さて、この友情?の話は筆者の勝手な想像で終るのか、続きがあるのかどうかは、神のみぞ知るところである。(御沓一敏)