2007.10.26
パラソルから小屋へ

里山アート展を開催していると、様々な人がいろんなことを言っていく。
その中の1つに、「地元の野菜などを販売して、お祭り気分を出しては」というのがあった。と言っても、すぐにムラの人たちが乗ってくるわけではないので、まずは、コスモ夢舞台米と黒米、サンゴの雫を販売することになった。

場所は船渡大橋の袂の踊り場で、ビーチパラソルを広げて行うということになったが、実際にやる役者は筆者しかいない。長年、営業の仕事はやってきたが、法人相手であって、露天で個人相手の商売の経験はないため、何とも照れくさい。
行き交う車は前を通るとき、スピードを緩めてチラッと見て行くが、止まって観ていく車はムラの人ばかりである。

米の生産組合のMさんからは、パラソルではみすぼらしいので本格的で簡単に組み立てのできる小屋を貸してあげるという申し出があった。
お助けマンのFさんはその小屋の完成したところを見たことがあるというので、早速、相談に行ってみる。
Fさん曰く「本格的だが、とても2、3人で組み立てられる代物ではない」ということなので断念する。

ここで終らないのが、Fさんのありがたいところで、しばらく瞑想状態に入っていたが、目を開けると「店舗の庇に使っていた古いテント生地があるのでそれを切り貼りして、テント小屋を作ろうということになった。しかし、現物を見て驚いた、良く保管していたなと思えるような年代ものでバリバリと破れそうな音を立てるが、キリで穴を空けようとするとメッシュ状に糸が入っていてなかなか扱いが厄介である。

裏話は長くなるので省略するが、小屋の場所は鈴木さんの作品「窓」の横、完成までに2日間を要した。オレンジのストライプとちょっとか細く見える柱の組み合わせがユーモラスで思わずFさんと2人して噴出しながら、「これでよし」と自らに納得させた。

小屋が完成すると、今度は渡る橋が気になる。杭を打ち込み、渡す板を2枚にして、水平を出し、通る人に不安感を与えないように固定した。
ムラ中の評判になるなと思っていたが、案の定、「蕎麦をやるのかえ」「別荘ができたね」と賑やかな反応である。

マキ子さんが、ムラの何人かの人に声をかけてみたところ、野菜を提供してもよいという方が出てきた。
できれば売り子は女性がふさわしいと思うのだが……。
ともあれ、里山アート展という祭りを通してムラの人びとの参加という発展形へつながれば幸いである。(御沓一敏)