2013.12.04
新潟県民会館の一日
森 紘一

 講演会の会場は、みぞれ交じりの小雨が止まない冬空とは別世界のあたたかい空気に終始包まれていた。佐藤賢太郎講演会「来たバスに乗れ」は、佐藤さんの講演とマキ子さんのお話の充実ぶりもあって、大好評だった。

その後の懇親交流会、反省会を通して、コスモ夢舞台にとっても、これまでにない収穫の多いイベントとなった。ひょっとすると、記録に残る一日ということになりそうである。 

 新潟大学の岡部さんをはじめとするスタッフの皆さんの緊張した表情が、徐々にほぐれ、いつもの自然な笑顔が広がっていく様子は、我々にも心地よかった。4月から準備をはじめ、20回以上の打ち合わせを繰り返したという。彼らの熱い思いは同世代の仲間たちにもきっと伝わったのだろう、何と反省会に、スタッフ以外の県外を含む若者たち10数名が傍聴したいと同席された。 

 その場に出席した全員に発言を促した佐藤さんもさすがだが、彼らの素直な感想や意見は新潟大学やコスモ夢舞台という枠を超えて、あるいは歳の差やアートを離れて、「これからの生き方」、「人との絆つくりの大切さ」というテーマに集約されていくように思えた。 

 「アートで何ができるか?」、これは佐藤さんと我われが「里山アート展」で追い続けてきた課題であるが、きっかけはともかく若者たちとの接点ができ、講演会に出席された皆さんとの世代を超えた交流の輪が広がったことは大きい。「若い皆さんとお話しできて良かった」「若い皆さんが会を進められて感心しました」等々の声が交流会の席でも聞かれた。

会社に限らず、組織や団体の継続維持には、若い力をいかに結集出来るかが鍵だとはよく言われるが、コスモ夢舞台にとっても同様である。大塚秀夫さんが描く「コスモ夢舞台塾」実現の可能性もほのかに見えてきた気がする。

また、実行委員長のマキ子さんは「何もしない、名ばかりの実行委員長です」と謙遜されるが、地場の食材を生かした手づくりのマクロビオテック料理には皆さんが舌鼓を打っていた。その賄いの準備に34日時間をかけられたという。これからはさらに、佐藤さんの講演会にマキ子さんのスピーチと手づくり料理は欠かせない要件となりそうである。ここにも、若い協力者が欲しいところである。

いよいよ来年は、佐藤さんがギリシャでの作品づくりに再挑戦することになる。7月末作品完成後には祝賀の講演会が組まれ、さらにそのあと仏のブルゴーニュ地方モントロンで地元のフェスティバルに参加し、間宮千晴さんとのコラボが予定されている。 

佐藤さんのメッセージは、年齢を超え、人種や国境を超え、ますます力強く発信されていくことになる。それらが、たんなる夢ではなく、無理のない実現可能なミッションであることを今回の講演会は教えてくれた気がする。 

熱心にご同席いただいたEU・ジャパンフェスト日本委員会の長谷川さんにも御礼を申し上げます。最後まで、ありがとうございました。