2010.06.20
杉、間伐から学ぶ
佐藤賢太郎

戦後、杉は財産、お金になると信じられて、日本中の山々に杉が植えられたのだが、これがとんだ誤算になり財産どころか負の遺産、山は荒れ放題ということになってしまった。

 さて我が家の杉林も、初めて5月に仲間と間伐をしました。
悠悠亭の杉林も美しくしようと間伐をしました。間伐はほとんどが雪に耐えきれずに折れたものや、曲がった杉などです。この杉は風呂の燃料として運び出しました。これでも運べるだけまだ上等です。多くの杉林では間伐もされず、折れた細い枝木が真っ暗な杉林の無残な姿を見せています。

そんな中、4メートル20センチの長い杉丸太をあげるから取りに来て下さい、といわれた。積んでくれるならいただいてもいいということになり、工房までトラックで運んだ。太くまっすぐなので、里山アート展作品材料になるかもしれない、また製材になると思いました。

そこで製材屋さんに工房まで来ていただき、本当に使える杉なのか見てもらいました。診断の結果、これはほとんど価値がない杉ですというのです。よい杉かどうかは、まっすぐな木、そして芯が黒くないこと、年輪が丸いことだと言われました。いただいてきた杉はほとんど芯が黒く、そして年輪がきれいな円になっていないものが大半でした。製材する側も頼まれたとしても、お金をいただくのに、粗悪品を製造するのでは気持ちにも力も入らなくなり嫌になってしまうそうです。そして、製材屋さんは「この木は薪にしかならない、私は傷物ですと言っているような木」とも言いました。

「どうして黒くなるのですか?」と聞くと、風に揺すられて年輪に隙間ができ、水が入りやすくなってそうなるとのことです。また、黒くなると、やがて狂いが出てひびが入ったりもするそうです。      

   「年輪はどうして丸くならないで変形するんですか?」と聞くと、雷にあったって変形したものや、隣の木とこすりあってそうなったものがあると教えていただきました。

さて5月に間伐した杉林の丸太を見ていただきました。これは比較的よい杉だそうです。隣にあった枝打ちしていない杉を見て「早く枝打ちしてあげたほうがいいですよ。この枯れた枝から虫が入ってしまうから。そして立ち遅れた細い木は全て切ったほうがよい」と言うのです。もったいないなどと思ってそのままにしていると全部使い物にならない杉になってしまうそうです。間伐はこれくらいでいいかなと思っていたのですが、とんでもありませんでした。もっともっと間伐をするとよいと指摘されました。素性のいい丸太を作るには大変な手がかかることがあらためて分かりました。早くから枝打ちをすること、隣の杉の木との間隔をあけ太陽の日が当たること、風通りよくする。このような状態に杉林を保つことが大切なことす。しかし採算の取れないところに手が入りません、したがって大方は放置される林になるようです。          

このたびは学ぶことの多い杉間伐でありました。知らないことが一杯ありました。素晴らしい杉製材にするには本当に早くから手入れをしないといけないことも知りました。これは全てに共通することのようです。