2012.06.22
作品「いのちの田んぼ」1
佐藤賢太郎

里山アート展を開催して9年目。私は今までにない、これぞという作品制作に取り組んでいる。これこそ、最も田んぼにふさわしい作品であろうと自画自賛している。

もともと、使われていない田んぼを活用して小さな池を作り、山の水を池に引き、ここを通過して田んぼに水を入れていた。それは生き物の棲みかとなり、水を温める効果もあった。この小さな池を手掘りで作るのに大変苦労した記憶がある。スコップではこれが限界であった。

今年、我われは田んぼ夢舞台公園の完成を目指している。業者に頼み、石畳を敷いているうちに、この池を整備することを思いついた。掘っていると、ハート形になりそうなので「ハートの池」にしようと思いついた。水が最短距離で流れる様子を見ながら、そうだハートの池の中を蛇行させようと思った。心臓のようであり、流れは血液のような、そんなイメージが思い浮かんだ。それから田んぼに行くたびに、この田んぼを作品化しようと意欲がわいてきた。

余っていた黒米の苗を水路に植えてみようと思いついた。そうすることで、季節ごと、時間ごとに変化を楽しめる。一年中生きている田んぼになる。それこそ生きている感じがする。

当然、ここに生き物を生息させてみようと考えた。流れの速いところに住む生き物,流れのゆったりしたところに生息する生き物が見られる。それは、まるで水族館のようである。

先日、私は金魚をこの池に入れたが、翌日みんないなくなってしまった。他の生き物に食べられたのであろう。これも自然そのものである。鳥にとっては絶好のえさ場である。工夫しようと思う。私は里山アート展の初日に、もう一度金魚を沢山放流してみることにした。赤い金魚は、まるで血管に流れる血のようである。そこで、「ハートの池」という題名から「いのちの田んぼ」と改名しました。

こうして手を加え作品「いのちの田んぼ」は、里山アート展が始まるまで作り続け日々変化してゆく。そして里山アート展が終わっても、制作し続けていくつもりです。