2010.07.23
第7回里山アート展に想う
佐藤賢太郎

7年前、私は過疎の郷里の田んぼで野外アート展を開催しようと、一人で思いたちました。それは不可能に近い夢のような企画でしたが、ともかく東京で3名の作家仲間に協力をよびかけた。ほかの出品者は、素人で私の友人、知人のスタートであった。

里山アート展は新規参入の作家をもとに新たな展開をする、一年一年新たな手作りの開催である。この里山アート展開催で一番難しいところは、予算が少ない中での参加作家の確保である。

県内では、里山アート展はマスコミを通じてご存知の方も多いと思いますが参加はまだ少なく、どちらかというとメインは関東近郊からの作家が大半である。主催サイドとしては、作家に交通費と材料代、宿泊代を提供するのがやっとである。そうした現状にあって、遠路はるばるこの里山アート展に参加してくださる作家は、とても貴重な存在である。参加される作家は、それぞれそれなりに里山アート展の価値を見出しているから参加して下さるのだと思います。

中には一回参加されて、継続は難しいと思われた方もいたと思う。里山アート展の主宰者として私の理念は、地域社会にアートでいったい何が出来るのかという問いかけであり、作家は自然が一杯のキャンバスに向かって創作する楽しみがあり、そして過疎の地域社会に自然を見つめなおす豊かな空間を作ることでもある。今日まで里山アート展を継続しながら思うことは、アートは総合的な創作行為であるということである。

里山アート展の開催によって明確に変化してきたのは、過疎高齢化によって年々荒廃する風景や田んぼが美しい景観に変わってきたことである。また、アート作品を鑑賞するだけでなく、自然とアート、農や地域再生について考える機会を持つことができた。今では、ビオトープという空間を囲む田んぼの畦道に敷いた石畳からは、誰でも気軽に生き物を観察することができるようになった。            

また、地域の方とアート展との接点を作ろうと、田んぼ夢舞台祭りとのリンクを計画し、その企画を実行して成功した。さらに、今年は小学校の生徒や地元の皆さんにも参加していただき、思い思いのカカシなど立体造形をよびかけている。

私は自然をキャンバスに創作する楽しみといいましたが、まさに今年、私もそこに挑戦している。今年は田んぼだけに作品展示するのではなく、杉林やかつて棚田のあった急斜面を利用して、さまざまな想いを表現することにした。他の作家もその可能性を探っていただけたらと願うのである。