2012.10.21
アートで繋がる人とまち
特定非営利活動法人和歌山芸術文化支援協会
理事長 井上節子

10月12日早朝、前泊していたアーティスト林さん一家と合流して新潟県阿賀町豊実に向け出発した。夜明けの眩しい朝日を見ながら日本海沿いを走る。走る車の中、里山アート展の軌跡、主宰者のNPO法人コスモ夢舞台の代表佐藤賢太郎さんとの出会い、これまでの交流、友情を超えた信頼で繋がっている事などを話した。何とか日の高い内に到着、準備したいと願いながら。願いが届いた、夕方4時を目標だったが2時半に到着。里山アート展の準備に展示作家、団体の人たち、の中、主宰者のNPO法人コスモ夢舞台の代表佐藤賢太郎さんが笑顔で迎えてくれた。昨年この地を訪ね佐藤さんとお互いの情熱を語り合い、是非地域を越えた交流事業を実現しようと約束してから1年ぶりの再会だった。

   山の日暮れは早い、展示の下準備をして明日早朝からに備える。冷たい空気、星がすばらしく綺麗な夜空に明日のお天気を祈った。明け方物凄い雨の音で目が覚めた。しかし、  夜明けと共に雨あしは弱くなりひと安心。さすが太陽プロジェクだ!

今年の夏休み、和歌山の子どもたちが現代美術作家の林さんによるワークショップ「げんき海プロジェクト」で「元気かい」とメッセージを込めて制作した日光写真画8枚(1m×5m)を展示。揺れる波、海を表現する為上下のバランスをとりながら設置して行く。

   山に囲まれ海のないこの地域に見事に海が広がった。その場にいたみんなが「凄い、海だね。揺れてる、波の様だね」としばし自分の展示作業を中断する場面もあった。

   オープニングの「たんぼ夢舞台」、この日の為に練習してきた成果を楽しそうに披露、地域の人たちの夢舞台が始まった。和歌山からの参加を現地の人たちは本当に喜んでくれた。土曜・日曜だけ走るというSLがカーブを曲がって黒い煙をたなびかせ走ってくる。乗車している人たちがこの風景に見とれながら手を振っている。田んぼからも笑顔で返す。ゆっくり流れる時間の中、日本の原風景を感じた。田んぼの中の海からは、和歌山からの子どもたちの元気な笑顔と声が聞こえた。

   オープニングセレモニーの最後に佐藤さん、新潟大学の青年たちと同じ舞台で唄った。精悍な佐藤さんの少年の様な横顔に地域を越えた交流・発信の素晴しさをあらためて感じた。