2012.08.25
さまざまな里山アート展参加
佐藤賢太郎

会員の中に、福祉施設に勤めている大島和子さんがいます。この方は私の作品コレクターになったことが会員になるきっかけでした。それ以来、十数年になるでしょうか。

昨日、自分の勤めている施設の障害を持っている方9名とスッタフ5名で福島県郡山市から和彩館にお出でになり、車いすで円卓のテーブルに着かれました。皆さん揃って、そばとビザをおいしそうに召しあがりました。ほとんどの方が自力では食事ができず、スタッフの方の食事介助を受けていました。スタッフの皆さんも本当によくやっていると感心します。

さて大島さんは、この方たちに里山アート展に参加できないかと事前に私に打診していましたが、もちろん私は受け入れていました。田圃に絵を展示するということでした。聞きますと障子戸が2枚あり、そこに絵を描きたいということでした。私は裏表に絵を描いたらいいですよ。立てかけるのはこちらでやります、と話を進めました。

大島さんは、和彩館にあるフランス人アーティストのアート絵葉書を見つけました。フランスの芸術祭で大樹に椅子がそれぞれに括り付けられていました。

「車いすを障子戸に飾ってはいかがでしょう」と大島さんは私に言いました。私は「個性があっていいですね。参加する皆さんも喜ぶでしょう。ただし、そのままではちょっとアートと言えないかもしれません。ちょっとしたアイデアと工夫が必要です。例えば車いす全体にペインティングして飾る。背景にどんな絵を描くか、楽しみです」とアドバイスしました。

すると大島さんは題名を考えてくださいと言うので、「今、私たちは立ち上がる。こうしたらどうでしょか」と答えました。大島さんはとても喜んでいました。

ご存知のように、郡山市も放射能汚染の影響を受けていています。立ち上がろうにも、多くの方は風評被害を含めて厳しい状態のようです。その意味と障害者の人たちが里山アート展に参加するということを兼ねて「今、私たちは立ち上がる」は素晴らしい題名だと思ったのでしょう。ワークショップとは、本来こういうことを言うのではないでしょうか。

里山アート展はプロの作家、素人、小学校の生徒、障害者の人たちが一堂に作品発表する場なのです。里山アート展は決してアートを目指す方ばかりの作品展ではありません。ましてやアートを公募展に出すだけと考えることは論外です。新潟大学の学生にも他の作品を見て考えていただけたら嬉しいです。

大島さんが自分の仕事を通して、このように食事やアート展に参加してくださることは大変嬉しいことです。里山アート展アートを作品のできばえを競うのではなく、いろんな方が参加したいという気持ちの強さが大切なのです。