2006.08.17
里山アート展・準備開始

お盆の最中にもかかわらず、大野さんは少しでも露天風呂の完成を早めるために、豊実へ出発。そこへ、前触れもなく、小板橋さん、飯野さんが登場して、今年中の完成を断念しかかった露天風呂の進捗が一気に加速したらしい。詳細は、佐藤さんからレポートがあるかもしれない。

大野さんは、私の作品づくりのためにコンパネを3枚持ち帰ってくださったという。
豊実でのお疲れも残っているだろう17日、電話をすると「今日でも、作業は構わないよ」との返事である。さっそく、午後一番からの作業開始だ。

話の発端は、私の今年の出品作品について、佐藤さんから「石に文字を彫ることに挑戦してみては」と前々から言われていた。しかし、時間もなくなってきたので、難しそうだと判断した佐藤さんが大野さんと相談して、石ではなくコンパネなら間に合いそうだという結論になったようだ(無責任な言い方だが、事実)。

それでも、のんびりと構えていた私は、前日に慌てて、文字の選択を始める。やっと3文字が決まり、何度も下書きをする。まあまあ自分なりに納得して大野邸へ持ち込んだ次第である。
すでに、コンパネはきれいに拭かれていて、さらに、試作のための古い襖が3枚用意されていた。筆者はそこへ文字を書くだけである。いつもながら、大野さんの気配りには頭が下がる。

ところが、コンパネはしょっちゅう見ているものの、改めて自分がその1枚に1文字を書くのだという視点で見てみると、180×90cmは想像上に大きいし、横長すぎる。一瞬、難しいという言葉が出そうになった。
しかし、佐藤さんがいつも言っている、「すべてを受け入れる」というのはここだなと思ったら、自分も挑戦してみようという気になった。
また、午前中に読んでいたある本の中の “何か事を起こすとき、起こりうる問題を先にイメージするのではなく、将来、この取り組みから期待できる効果を真っ先にイメージする。これこそ、夢創造型の取り組みにおける普遍的ルールの一つであろう” という1フレーズが浮かんできた。そこには、列車の中からコンパネの作品を見ている自分がいた。お陰で、暑さなどどこかへ吹き飛んでしまった。

精一杯、横長の文字を書く。ドリルで文字のつくりの一つひとつに穴を開ける。さすがに、ジグソーのこぎりでのカットは、強度などを加味しなければならないので、大野さんがやってくださった。最後のバリ取りのためのペーパーかけは自分で行なう。ずいぶん柔らか味のある仕上がりになった。これで、8割方の作業は終わっただろうか。

里山アート展への参加の度合いは、昨年より一歩進んだが、まだまだ、この程度であって、自立までには至らない。しかし、もしこのパターンが可能であれば、他にも参加できる人が増えるのではないかと勝手に思った。

世間では旅への関心度を測る一つの尺度として、「見る、食べる、遊ぶ」の末字から“るるぶ”という言い方があるそうだ。それも、最近は、内容が「作る、語る、学ぶ、」へと移行しているという。
今日は、確かに充足感一杯の時間だった。

ないない尽くしの条件の中での里山アート展の開催ではあるが、とにかく、続けるしかない。そのためにも、早くお手伝いする側にまわらなければ……。(K.M)