里山アート展に参加して4

 天候に恵まれた9月中旬の3日間。昨年の降り続く雨の中とは打って変わった状況で、存分に制作することができました。しかもたわわに実を結んだ一面の稲穂を前にして過ごした時間はほんとうに幸せでした。
 あの黄金の稲穂の大群に吹く風に押されて、私たち3人は描いたのではないかと感じています。
普段は室内で制作することがほとんどの私にとって、なんと心が解き放たれる体験であったことでしょう。

   これまで絵画をやってきて、「描くこと、踊ること、歌うこと」は理屈なしに生を紡ぐ全ての人が衝動として持っているものと感じてきましたが、益々その確信を強くしています。

   アートは特別なものではなく、身近なものであり、限られた作家や享受者のものではありません。
どんな日常の中にも、ふと視線を変えれば必ずはっと驚くようなもの、心を震わせるようなものが潜んでいるはずです。
それを拾い上げて、手のひらに載せ「ほら此処に・・・」と言うのが作家の役目かと考えています。

   豊実という場にはそのきっかけと出会いが溢れています。

   丹野有美子