2009.10.14
企業研修第1号(2
御沓一敏

   いよいよ研修のときがやってきたが、大型台風18号が中部地方に上陸後、日本列島を縦断しそうだという予報が出され、全国民がTVの情報に釘付けになるというあいにくの天気となった。

   前日の夕方、磐越西線が運休という連絡が早々に入った。社長とNさんに連絡を取りながら、新幹線が動く限り初志貫徹の意志を確認しあった。

当日の早朝、筆者は単独、車で先行するため4時の出発を予定していたが、余りの風雨の強さにひるんだため、1時間遅れで出発。

   途中、新潟地方の鉄道は新幹線を除き、すべての線が運休という連絡が入り、さらに、Nさんの乗る予定の新幹線だけが定刻どおり運行するということが分かった。
   しかし、時すでに遅し、新潟駅までお迎えに行く旨伝えたが、結局、1時間半お待たせする結果となった。これが幸いして、Nさんとのコミュニケーションは車の中で十分とることができた。不思議なことに豊実は真空地帯といった感じで小雨が時折降る程度であった。

   ちなみに、社長からどういう風に言われて来たかを聞いてみると「リラックスしてきなさい」の一言であったとのこと。この意を汲み、インストラクターとしては、社長の思いを伝えすぎてもいけないと心して、最初は「自然の循環体験」、薪で大きな風呂のボイラーのお湯を沸かす作業に入る。薪にどうのようにして火をつけるのかは、実際にやってみないと分からない。これは歳をとればできるというものではない。ヒントを出ししばし、考えながらコツをつかんでもらう。

   お湯が沸いたのを見計らって、今度は薪割り体験をしてもらう。最初はなかなか跳ね返されて薪割りの刃が食い込まない。割る対象である木の特質や道具の役割を考えて進めるのが知恵であり、すべての仕事に通じることを話しあう。
   その日は、暗くなる前にゆっくりと自分で沸かした風呂に入っていただく。

   翌朝は6時半集合、佐藤さんのお母さんの指導の下、薪でご飯を炊いてもらう。マイコン制御の電気釜がこれをモデルにしていることを感じ取ってもらうことも、デジタルとアナログのバランスを保つことの大切さに通じると思った。

 朝食の後は、アーチスト佐藤さんのつくる作品のアシスタントをしてもらいながら、まさに「アートに触れる」体験である。筆者は、その間、一緒にいなかったので分からないが、ビオトープ作り、本格的な薪割り等、可なりハードな体験を数多くこなしたようである。風呂に入ってもらった後、夕食は、東京、茨城より見えた二人の作家とも親しく語り合った。

   3日目は、コスモ夢舞台のイベントとも重なった。午前中はその準備を手伝っていただき、午後は初めて、帰りの電車の時間まで、ゆっくりと見学をしていただいた。

   Nさんは実に素直で積極的に取り組んでくださったが、今回の体験をどのように感じ取り、果たして、社長のおっしゃる「リラックス」ができたのであろうか。気になるところではあるが、是非とも、今後につながる事を期待したいものである。