2011.07.28
体験学習から目指すもの
鈴木 隆雄

7月22日(金)〜27日(水)、東京都から3校の中学2年生男子2班、女子1班の生徒をお世話した。

  2日間、3日間という短い日程の中、佐藤家に宿泊し中身の濃い生活体験をしていただいた。

体験メニューは、畑の草取り、ジャガイモほり、風呂焚き、薪割り・薪運び、堆肥にする枯草運び、チェンソーを使っての薪切り、配膳の手伝い、天然水の水汲み、ビオトープの見学、川遊び、食事等々である。どの生徒のみなさんも、素直で礼儀正しく労作体験を一所懸命取り組んでいた。川遊びや入浴の時にはひときわ元気で明るい声がはずんでいた。

 佐藤家ではこれまでと同様に、生徒のみなさん方に終始一貫して伝えてきたことは、元気よく挨拶すること。食の大切さと感謝して食事をいただくこと、そして額に汗して労働に取り組むことの大切さである。このことは生きる力を養う基礎基本だからと捉えている。

   朝6時起床、ひと仕事をしてから朝食とるようにしているのも、身体を活性化させ、しっかり朝食をとってから一日をスタートさせるためである。食事は、自家製無農薬で作った新潟米コシヒカリの玄米食をとり入れ、畑で収穫した無農薬の野菜を主とした食事を出すことにしている。

 これまで数年にわたって体験学習を受け入れてお世話をしてきました。その先の目指すものは「コスモ夢舞台塾」の運営である。佐藤さんは以前から塾を立ち上げ未来ある子供たちへの教育をコスモ夢舞台の自然の中で育みたいとの理想をかかげている。

佐藤さんが購読している「倫風」の記事に寄せられていた体験型科学教育研究所事務局長古川和先生の「広がる理科の体験型学習」のなかで、『・・・子供の可能性を引き出す本来の教育も、体験型教育も同じである。想像力や問題解決能力、自然に対する畏敬の念、豊かな感性を育むにはしっかりとした理念、教育プログラムが必要です。』『メダカの観察で子どもたちは、命の大切さを学び、田植え体験は食育にもつながるでしょう。それぞれが楽しい貴重な体験でしょう。』『体験型学習によって子どもたちは、新鮮な驚きを覚え、好奇心を持ち、疑問に思うことを調査し、探求し、説明する能力を育み、やがて、自ら得た科学知識を日常に役立てられるようになるでしょう。』等々体験型学習の普及と重要性が書かれていた。

 今まで佐藤家で受け入れてきた体験学習は、農家の生活体験に特化したものであるが、佐藤家のフィールドには田んぼ、畑、山、渓流、ビオトープ、またそれを取り巻く地域全体が体験型学習に適している環境であるといえる。この環境の中で、生きる力を育む「コスモ夢舞台塾」の教育プログラムも着々と構築されている。