2011.10.22
人のつながり
佐藤賢太郎

「田んぼ夢舞台祭り」を里山アート展のオープニングイベントにしておりますが、これが終わればコスモ夢舞台のイベントは終了したようなものです。一年かけて、すべてがこの日に結集したようなものです。

東日本大震災や地元の大洪水に見舞われながら、春からの会場つくりに会員が汗を流し石畳を作り、田んぼ夢舞台の準備に地域の方と打ち合わせをし、ステージ会場準備、里山アート展の会場草刈り、作品つくり、作品設置をしてまいりました。この間、どれだけ多くの方とかかわりながら今日に至っているのか、一年を振り返りました。

会員の支えが一番にあるのは言うまでもありません。イベント当日の搬入搬出も、私がいなくともすべてこなしていただきました。また、田んぼ夢舞台祭りには東松島市からわざわざ大江さんご夫婦が駆けつけてくださったのです。大震災で深い傷を受け、未だ復興にはいたっていないなか、どうしてこんなイベントのためにお出でになるのかと思ってしまいます。大江さんが挨拶いたしました「震災で私たちはどれだけ励まされたか、人とひとのつながりを感じています」と述べられました。

続いてEU・ジャパンフェスト日本委員会の古木修治さんも人のつながりの大切さをおっしゃいました。さらに、喜多方市教育委員会からも私とのつながりでわざわざお出でくださいました。

この場に居合わせなかったら、その雰囲気は伝わらないだろうと思います。田んぼ夢舞台の会場には地元の高齢者からお祝いまでいただくこともありました。

このようなイベントを開催する以前は、どちらかというと気心が知れた仲間だけが集まる場でありました。しかし、今は全然違ってまいりました。だからこそ、その受け入れに私自身が変わらなければならないし、仲間も昔のように、仲間内だけで通用するのでは対応できなくなっています。それだけ他者が集まり、器が大きくなっているのです。だから、変わらなければならないのです。

私にとって中心は仲間ですが、それだけでは成り立たない現状になっています。音響セットの裏方がいなければ、田んぼ夢舞台祭りはできず、個性ある作家がいなければ里山アート展は成り立ちません。それぞれが個性ある人たちです。それをまとめることがなくては成り立たないこのイベントです。夢を追いかけているうち、知らない間にそれをこなさなくてならないようになりました。

イベントをこなすためのイベントにはしたくないのです。あくまでも人と人の共生、愛和がなければならないのです。アートや建設、芸能など一つのことで秀でても、人とのバランスがなければそれはならないのです。たとえば芸能発表者は演じるそのことでいっぱいでしょう、しかし主催者の私はそんな守備範囲ではとてもいられない立場です。食事の裏方にも配慮して、楽しい団らんをつくらなければなりません。僅かかもしれないが、経理のことにも気をまわさなければならない。それがトータルなバランス感覚です。

これらができるのも、欠点を知りながらも私を信頼してくださる人がいるからであります。田んぼ夢舞台祭りイベントの翌日、EU・ジャパンフェスト日本委員会の佐伯さんが是非ビオトープつくりを体験したいと意志表明がありました。そこで現場に案内しました。日頃は事務所で仕事をしているのでしょうが、ここは泥まみれになることばかりです。本当は一日していただければよいのですが、彼女はビオトープを維持することを体で少し体験したと思います。

そういえばイベント当日、彼女は言われるままに裸足で写真を撮っていました。嫌ですとは言わなかったのがよかった。大地を感じる、本物を味わうとはこうした精神がなければなりません。

私はひそかに、こうしたことが人とひとのつながりになればと願っております。