2006.11.08
2006コスモ夢舞台・バスツアー日記

11月4日(土)晴れ
早朝6時、蓮田のアトリエに集合したのは、森幹事長、桐山さん、大塚さん、大野さん夫妻、時崎さん夫妻、荻原さん、寒河江さん、そして私の10名とゲスト組の広瀬さんご夫妻、川合さんご夫妻、鮎川さんとお嬢さん、大内さんと妹さんとご友人の古屋さん、若月さん、山田さん、切敷さんの12名、合わせて22名の大所帯だった。

東北道の久喜インターから入って那須高原SAで休憩という、いつもの行程だった。当初心配した渋滞もなく、今後のスケジュール説明とそれぞれの自己紹介が幹事長の司会でスムースに進められ、お馴染みの平岩さんのハンドルさばきも軽快だった。

昨年の里山アート展などを取材したNHKと新潟の民放局の録画ビデオを見終わった頃には、色づいた磐梯山が車窓一杯に広がり眩しいほどだった。磐越道の西会津ICで下り、新渡大橋に設置された賢太郎さんの縄文人の彫刻像と川を渡る親子像のレリーフをバスから観賞した。秋晴れの紅葉も実に見事な借景で、願ってもない「里山アート展」の序章となった。

最悪は11時を予想したが、豊実到着は9時半過ぎと余裕だった。予想外の早さに驚きながら、今や集落の一員となった御沓さんとマキ子さんが笑顔で迎え入れてくれた。賢太郎さんは工房で何やら制作中だという。バスはそのまま「石夢工房」へむかい、主催者代表とのご体面となった。「石夢工房」横の眺望絶景な「桃源の湯」と大きな池にはゲストの皆さんもビックリされたようだ。我われのお宿となる工房の屋根裏部屋が、御沓さんの奮闘努力でほぼ完成しフトンまで敷いてあった。これには、我々も感激だった。

「コスモ夢舞台ツアー」の醍醐味のひとつに豊実の“食”がある。昼食は手打ち蕎麦の食べ放題だった。名人の手業もさることながら、大根のおろし汁だけで食べる十割蕎麦は格別の味だった。「お蕎麦は苦手だったが、好きになったよ!」というゲストのひと声に、名人も破顔一笑していた。

昼過ぎ、クルマの後発組が到着した。そういえば、病み上がりの愚妻をエスコートしてくれた渡辺さんもパンつくりのプロで、店主マキ子さんの強力な助っ人のひとりである。

本日のメインイベントは、定刻13時半に和彩館で始まった。プロ歌手のシャンソンが豊実で聞けるというのも、寒河江すみ子さんがふくろう会の会員であるからで、まさに「コスモ夢舞台」ならではのことである。歌声はもとより寒河江さんの飾らない人柄と軽妙な話術に地元の方々を含めて30人以上の客席は酔いしれてしまった。奥阿賀音楽彩の実行委員長と澤野県議会議員もお忙しい中を応援に駆けつけてくださった。

懇親会の始まる夕方までの自由時間は、「ふくろう会館」や「縄文館」、里山アート展の会場見学、古代米の刈り取りから「桃源の湯」のマキ割り、入浴とさまざまにそれぞれに楽しんでいただいたようだ。

明日の「里山アートシンポジウム」を控えて、夕刻6時から始まった懇親会はプロの作家先生と地元の方々も加わって賑やかで楽しい前夜祭となった。十日町の藤巻先生や佐治さん、間地さん、田中さん、安部さん、リトアニアのケスチュティスさん、石橋さんに北川さんと多彩だった。

進行役の桐山さんも、地元の前区長の伊藤さんや顔なじみの伊藤淳一さん、古山さんをはじめ出席者全員にマイクをむけてご挨拶をいただくのに大忙しだった。

渡辺さんが石窯で焼いたクルミとぶどう入りの熱々のパンの飛び入りは好評で、しばし話題をさらった。さらに明日、地元の古山さんが所有のモーターボートで、阿賀野川遊覧をサービスをすることになって酒席はますます盛り上がった。徳沢の宿に向かった9人が抜けた後も、宴は9時過ぎまで続いた。

11月5日(日)快晴
昨夜は、結局10名が石夢工房の屋根裏部屋ではじめての‘お泊り’を体験した。不用意に背を伸ばすと頭を打つ、横になるまで腰の低い姿勢を保たなければならなかった。絶えず、「頭が高い!」「腰を低く!」とお互いに注意しあった。アルコールの入った身体には、寝床はまるで修行場のようだった。
しかし、「桃源の湯」で朝風呂に入ると、昨夜の疲れもぬけてさわやかだった。それだけ熟睡できたのかもしれない。

丹精こめた自信作と書かれた「コスモ夢舞台米」と古代米の朝食は、まことに美味しかった。「サンゴの雫」も不思議な味わいだった。大勢で揃っていただく食事の楽しさも、「コスモ夢舞台」の魅力のひとつだ。私も豊実へ来ると、朝飯のお代りが自然にできてしまう。

「第3回里山アートシンポジウム」は、和彩館で午前10時から開催された。佐藤賢太郎さんの進行で、藤巻秀正先生がパネラーとして、「十日町の石彫シンポジウム」を例にひいて、町づくりと市民の関係、作品集めとその運営方法、行政とのかかわりなどについて基調講演された。

つぎに、県主導型の「大地の芸術際」の状況と今後に触れながら、豊実の「里山アート展」の評価とこれからについて話しが進められた。
出品参加者のそれぞれの思い入れの発言が続いた後で、会場の佐治さんや間地さん、田中さんたちプロ作家の発言が続いた。                                    

豊かな自然環境のなかで、コスモ夢舞台という温もりのあるステージで「里山アート展」を続けていくことは、大変だろうが実に素晴らしいいことだ。地元の協力を高めながら、誰もが気軽に参加できる魅力あるアート展になるよう、さらに努力して欲しい。会場も田んぼだけでなく、作品を並べて鑑賞する道を設営してみたら、というご提案もあった。     

最後をしめられた藤巻先生の、「私も応援していきたいし、十日町と豊実で協力し合いながら動かしていこう」という言葉には大いに励まされる思いがした。会場に見えた新潟日報の記者にむかって、新聞も我々に協力して欲しいと呼びかけていただいたのも有り難かった。

12時にシンポジウムの終った和彩館と縄文館の空き地には、洗い上げた臼と杵がすでに用意されていた。5升の炊きたてのもち米が賢太郎さんのお母さんの音頭で、瞬く間につき上がった。腰の据わり具合と打ち下ろす杵の力強さは、リトアニアの大男もお母さんに負けていた。大野さんの奥さん、賢太郎さん、幹事長、大塚さん、御沓さん、藤巻先生、そして私も力仕事に加わって楽しんだ。

あんころ餅、きな粉餅、辛味餅、納豆和え、どれも美味しかった。そして満腹した。お母さんの予想を超えて完売だった。「コスモ夢舞台」バスツアーは味覚の旅でもあった。

帰路出発までのハイライトは、阿賀野川の遊覧だった。30分コースを二回、都合10人以上のラッキーな当選組と若杉さんの愛犬一匹が古山さんの運航で川面から紅葉を満喫した。
船着場の傍らでは、絶えず絵筆を持って余暇を楽しむ大内さんの楽しげな姿もあった。

午後3時に出発したバスが蓮田のアトリエに着いたのは、8時過ぎだった。復路のバスでは、大塚さんの司会でゲストの皆さんから温かい感想をいただいた。また、豊実の「コスモ夢舞台」に行ってみたいという皆さんにスタッフ一同心から感謝してお別れした。   
11月7日 森紘一)