2006.10.04
話題はサルから熊へ

エン害といっても、ここ豊実では赤塩の害などではなく、サルの被害のことである。
そのことについては、HPで過日、書かせていただいた。

ところが、最近はサルより熊の話で持ちきりである。「広報○○」なるものも筆者が住んでいた埼玉では、迷子の老人のお知らせが多かったが、こちらでは、“熊が出たので注意・情報”が毎日のように有線放送で流される。

原因はブナやナラなどの木を切り過ぎて、食べるものがなくなった動物たちが人里へ降りてきていることは、誰もが知っているのに、その流れを止めることはなかなかに難しい。

熊を射殺をせざるを得ないというところまで来たというニュースは聞いていたが、捕獲された小熊の肉を自分が食べることになるとは、夢にも思っていなかった。
マキ子さんがお知り合いのKさんから珍しいので食べて見ませんかと連絡をいただき、持ち帰ってきたのである。

格好良いことを言っても、結局、お前も食べるのではないか言われれば、返す言葉もないが、複雑な心境の中、元気が出るという話とこの時しか体験できないという好奇心に駆られて、ついに小さな肉を数切れ口にした。

2時間近く、いろいろな野菜と一緒に煮込んだということで、抵抗感は少なかった。味はサッパリ系でどちらかというと鯨の肉に近い感じがした。肉は煮る前は真っ赤な色をしていたそうで、油は怪我などに効く貴重な薬だと聞いた。

いただきながら、梶井基次郎の「桜の樹の下には」の中の “人も死ねば所詮、皆、土に返り、木の根元に埋まって、奇麗に咲いている花の栄養分になっている”という一文が浮かんできた。
また、「必要な分だけ、自然の恵みをいただく生活」「全てに魂が存在する観念の生活」をしていた縄文人の智恵に学ぶことが大切だと改めて思った。

循環なのだからどうでも良いというわけではなく、良い循環にしたほうが人間も動物も楽に生きられると思うのは、筆者だけであろうか。

自然に一番近いところから食材を直接いただく豊実の生活は、あらゆる生命の尊さと「いただきます」のめぐり合せを最も感じる場所である。合掌(K.M)