2011.02.08
本物と向き合う1  
佐藤賢太郎

コスモ夢舞台の正会員の資格は「感動ある人間交流」「一人一人が輝く」「本物と向き合う」という我われのモットーに賛同することを条件にしています。

その「本物と向き合う」とは何か、について私の考えを述べてみます。

 今年の里山アート展の総合テーマである、循環、再生、創造、これも本物と向き合うことであります。山間の過疎地に住む者が山菜や無農薬の野菜を食べ、山の木を切って燃料にし、その灰を畑にまくことは循環再生です。地域再生、教育、農、食、(何を食べることが人間の体に良いか)、医療を考え、見えるものだけを信じる観念を捨てるなど、理想を語るだけでなくできるところから実行すること、これがコスモ夢舞台の本物と向き合うことだと明言いたします。

さて、話はここからかなり飛躍いたします。

ある夕餉の団欒で、家内は母と私のいる前で「賢太郎さんが癌になってくれたお陰で、こんな美味しい食事ができる、ありがとう!」と明るく話します。その明るさに私は救われます。普通なら医師に癌の宣告をされた私に、冗談でもそんな台詞を言えるものでありませんね。一般的に癌イコール死とさえ思われることがあるからです。

 肉、魚、酒、白砂糖、乳製品、お菓子一切ない食事なのに、とても美味しい食事を毎日食べさせていただいています。私の体が自然と一体化してゆくようです。素材の持っている味を知る醍醐味なのでしょうか。

私は還暦を少し越えて、人生が一変するような道を歩むことになりました。勿論、夢を追い続けることはこれまでと変わりません。人生に賭けてみようとしたことはあります。それは教師から彫刻家への選択であります。コスモ夢舞台づくりも懸命に取り組んでいます。これも人生を賭けていることです。しかし今まで命を賭けたと言えるものはありませんでした。

この度、私は生きることに(自分で治す決意)命を賭ける決意をしました。だからこそ、生きている時間を充実させなければなりません。明るく「お陰さまで」という家内の言葉も命をかけての言葉です。しかしそれは「必ず治る」というゆるぎない信念から出るものです。そうした信念や癒す言葉がものすごい生命力や免疫を人間に与えることを信じます。

こうして、私はすごくシンプルな生き方を選択することになりました。今までそうしたほうが良いと分かっていても、切羽詰らないとやりませんでした。しかし、癌のお陰で食事は勿論その他よいことは囚われの心を捨てて、何でも実行し始めています。作品を作ることもそうありたいものです。

こうしたことは私の個人的な面はありますが、究極のテーマでもある「本物と向き合う」ことの一つだと思います。