2007.05.09
厳しさと優しさに感動
御沓 一敏

5月連休のコスモ夢舞台一大イベントが終わって、いま、豊実は祭りの後の静寂に包まれている。
期間中、いくつもの感動シーンがあったが、その一つを思い起こしている。

ふくろう会会員にとっては、11年前に建設した悠悠亭の屋根の修復が今年の建設作業の優先課題である。
修復できればそれに越したことはないが、会員も11歳、年齢を重ねたわけで、大変だからそのままにしようかと思うという提案が佐藤さんからあった。しかし、夢のはじまり、コスモ夢舞台の原点だからもう一度、屋根を葺き替えようという声が全員から上がり実現の運びとなった。

とはいえ、材料(費用)、作業する人数が揃わなければ不可能だ。まず、足場かけの作業から始まる。
100本の材料は棟梁のOさんが中古品をいただいてきたもので埼玉では、それを1人で積み込みをし、過労のため、さすがのOさんもダウン。寄る年波には勝てない。病院経由で奥さんが付き添って来たという。

筆者とて、それほどまでではないが、事前準備期間からはじまって、一気呵成に全員でやる作業のとき、疲れはピークに達する。平たく言えば世間でいう3Kの代表のようなものである。こういう労働がまた、大の苦手と来ている。
来るだけで良いといわれていた最長老70歳のTさんも足場用の木材を運ぶ。細いものであっても骨身に応える。

それほどまでして、なぜ、皆はやるのだろうか。地域のため、ムラのためと言いたいところだが、私の場合はまずは、自分の夢、ロマンの実現のためである。
木材一本を運び、板1枚張っただけで、思い出を作り、仲間とともに“やった”という気になるから不思議である。

最後の工程は、板金(屋根)専門の44歳のKさんが新品の材料持参で登場。いつものように小学校6年生の息子さんと愛犬のレバが一緒である。

冒頭で述べた1シーンはこうである。
その日の予定が終わって、一番重たい動力用の発電機を担いで長い距離を歩かなければならない。
とても無理だとは思ったが、私が手を出そうとすると、Kさんから「私がやるから良いです」という声がかかる。
先棒を担ぐのは、かつては、ふくろう会の若手と言われていた54歳のOさんであるが、今回は何度も落ちたり、転んだりで足元がおぼつかない。後ろに回ったKさんがサッと前へ出る。端から見ていると、殆ど、Kさん1人で担いでいるような状態である。

一杯飲みながら、OさんとKさんへそのことを話した。Oさん曰く「どうりで軽いと思った」。「御沓さんが、そこまで見ているとは思わなかったな」とはKさんの弁。3人で大笑いしながら心地良い感動に浸っていた。
これがあるから、メンバーはまた、コスモ夢舞台に戻ってくるのであろう。