2007.01.18
森 英夫
感想文

実は、先日森紘一さんから2冊の本を渡され、「英夫さんこの本とてもいいから読んでみたら、そして読み終わったら佐藤さんにも回して」と言われました。そして読んでみたら、とてもよかったです。早速、佐藤さんにも送って読んでもらいました。そしたら、佐藤さんから「英夫さん、読んだらその感想を述べなきゃダメだよ」と言われ、仕方なくこの場を借りて、感想を述べることにしました。

その本は、内山節という立教大学の哲学者の本です。内容は、まったくコスモ夢舞台のポリシーと同じことを述べていて、読んでいると『まったく異議なし』と思えるところが随所にありました。一冊目が『農の営み』というタイトルで、2冊目が、『作法の営み』だったか『技の営み』だったか忘れましたが、いずれにしても佐藤さんに言った感想を述べます。

それは、一番最後の部分です。内山節さんは述べています。渋沢栄一しかり、西郷隆盛しかり、旧態依然の江戸幕府の価値観を打破したのは、地方から出てきた先見性のある人材だったと。そして、私はさらに次のことを思いました。

私としては、もう一人の人物を挙げたいと思いました。それは吉田松陰です。松蔭こそ明治時代を創りあげた人物を輩出した偉大なる教育者であると思っています。松蔭の言った、
『大和魂』は、それ以後の、富国強兵、軍国主義によって曲解されてしまいましたが、本来
松蔭が処刑される牢獄で詠った

     一つは、親への『永訣書』
      親思うこころにまさる親心 けふの音づれ何ときくらん
     一つは、『留魂録』
      身はたとい武蔵野の野辺に朽ちぬとも 留め置かまし大和魂

この覚え置きました「大和魂」は、日本人の古来から持っている『大和魂』、それは恐らく一万年もの長い間、争いごとのなかった縄文人から脈々と培われてきたのであろう“日本人が持っている優しさ”のことを指しているのです。そして、その“優しさ”を実践によって後世の人に教育したのが吉田松陰なのです。
 

松下村塾で松蔭が弟子に伝えたかったのは、その優しさだったと私は思っています。自然への優しさ、人への優しさ、我以外のすべての存在に対しての優しさ、それが最も大切なことだと思っています。内山節さんは、それをあらゆる物への“関係”が最も大切だと述べています。我々の存在は、まず“関係”が有りきです。そういった内山さんの考えに、私も『まったく異議なし』です。もし、機会がありましたらみなさんも是非、内山さんの本をお読みになってください。