2009.02.25
日本に向けられたヨーロッパ人の眼9
佐藤賢太郎

リトアニアの写真家アウツーラスさんとエグレさんは和彩館に4日間滞在しました。私たちにとっては、三名の外国人写真家のなかで、お二人が最も印象に残ることになると思いました。

エグレさんが挨拶のなかで、日本に来てこのように暖かく迎えられ、ホームステイのようでとてもよかったとありました。21日、歓迎会の日は温泉に行く時間がありませんでしたので、わが屋の家庭風呂に入っていただくことになりました。日本の一般家庭の風呂に入る機会はめったにないから、それもいいのではないかと思ったのです。小寺さんもエグレさんもそれでよいとなりました。入る順番を決めておかないと後で困ることになってしまう。先ず体の小さな小寺さんが一番目、その次は体の大きいエグレさんと決めた。アウツーラスさんは酒を飲みすぎて寝てしまったというので、次に私が風呂に入った。ところが、浴槽の湯が減り、私が入っても湯船は湯が一杯にならず肩が出てしまい、おまけに温度が低くて参ってしまった。

彼らは日本の文化に少しでも触れ、学ぼうとしていた。日本語で覚える大切な言葉を教えた。「ありがとう、すみません、頂きます、ご馳走様」です。私はこれだけでいいと言った。するとエグレさんは「どうも、どうもとは何ですか」と聞いたので、ありがとうの軽い意味だと伝えた。食事には大変関心があって、リトアニアに帰ったらこんな美味しい食事はできないと涙を流すゼスチャーをしていた。(笑い)

箸では食べにくいと思いやりで家内はナイフとフォークも用意した。ところがノーと言い、あくまでも箸を使いたいとこだわった。それだけあって上手に使えていた。そして納豆を出したら食べてくれた。これが日本の伝統的な食べ物で大変ヘルシーなものだと説明した。

箸や箸置きを毎日変えたらとても興味深そうだったので、最後に箸と箸置き、ぐい飲みを土産として二人にプレゼントした。とても喜んで、リトアニアに帰っても箸を使いたいといっていた。

それにしても彼らはタバコをよく吸う。はじめ中座して失礼に当たらないかといっていたが、隣の部屋なら問題ないと言ってあげた。アウツーラスさんは私にタバコを吸わないのか、いつからかなど聞いてくれた。彼はソビエト連邦共和国のころロシアの軍隊に入っていて、仕事もせずに皆でタバコを吸っていたそうです。そこで覚えたようです。

しばらくの間、英語しか共通語がない生活のなかで家内は、私がギリシャでよく生活ができたとしみじみ思うと私に言った。まだこちらの状況は、私がギリシャにいた時に比べたらずっといい環境である。

一昨年のポルトガルの若い女性に続いて、今回のリトアニアの二人と少しの間でも食事をともに生活できたことがとても楽しいと家内も言ってくれた。

ともかく、日本来られたからには、少しでも日本の印象がよいものになって欲しいと願うのみであった。