2020.7.1
杉林にさしこむ陽ざし
森紘一

 上越新幹線の長岡駅を過ぎるあたりまで、強風にあおられた雨粒が窓をたたき続けていた。6月28日(日)新潟行の車内に人影はまばらで、ガランとしていた。
 きょうは第2回奥阿賀国際アートフェスタの最終日で、トークシショーが行われる。駅で小宮さんに拾っていただき、昼前に豊実に到着。陽ざしのある好い天気となった。 
 笑顔の佐藤さんに「遅いよ!」と声をかけられ、和彩館の丸テーブルで皆さんと名物の天ぷら蕎麦を味わった。かれこれ3か月ぶりのことである。

アートフェスタの第1会場は、小高い丘の田んぼの裏斜面にある。育ち始めた早苗の緑がまぶしい田んぼの畦道を縫って入口に辿り着く。入場口のサインボードには、これまでに来場された方々の名前が記入されている。正確には数えきれないが、100名を超えているのではないだろうか、空きスペースがないほどである。
 開催直前の会場は静寂で、色も形もさまざまな絵画やオブジェがのびのびとくつろいでいるかのようだ。時おり、「コーン、コーン」と山の清水をひいた鹿威しの音が響いている(そういえば、会場内の池の一角に子熊の巣ごもり跡がみつかったそうです)。
 
 トークショーは佐藤さんの挨拶で始まり、澤野県議会議員、阿賀町町長、西会津町長、地元の下越酒造社長、博進堂社長と続き、奥会津書房の遠藤さんが最後を締めた。
 かつて棚田だったという二つの小さな池を前にして聳える杉林、そこにさしこむ
明るい陽ざし。「これこそ、きょう皆さんに見ていただきたかった風景です」と遠藤さんは手をかざし、「人の手によって整備され、山の水をひいた小さな棚田で米が作られていたのです。これこそ、自然に寄り添い、感謝し、共に生きる人間の姿です」と結ばれていた。
 今回の見学者は家族連れや子どもたち、若者も多かったと聞くが、この壮大で粗削りな大自然の舞台の千秋楽に、佐藤さんを中心とした仲間たちと自治体や行政の皆さんが一堂に会することができた意味は大きかったと思う。

 きょうは最後に、もう一つオマケがあった。トークショー終了後、NPO法人まちづくり学校の幹部3名と面談する機会が設けられていた。
 地域づくりコーディネーター養成講座の番外編として8月30日に「オンライン講座」が予定されていて、その実施に佐藤さんが協力することになっているそうだ。
 コスモ夢舞台の課題である後継者問題、地元や若者対策を考えていく上でも、こうした団体との交流はありがたい。広報活動を含めて大いに勉強させていただきたいと思う。