2011.07.22
見えてきたこと
森 紘一

 7月16日(土)から18日(月・海の日)にかけて、里山アート展の会場づくりという名目で関東首都圏と新潟市内から15名が豊実に集まった。連日30度を超す猛暑のなかで、新しいイベントやさまざまな作業が進められた。

「食と心と体」と題した伊藤千賀さんの講演を聴いて、食生活の改善とやさしい健康体操を日々の暮らしに取り入れよう、と心に決めた女性は多かったようだ。

さらにその夜、女性陣は桃源の湯の帰り道で蛍の歓迎をうけ、感激したそうだ。

蘇った日本の原風景を目の当たりにして、喜びもひとしおだったようである。これも、ビオトープづくりのひとつの成果である。

今まで、朝飯前のひと仕事は男組の定番だった。ところが今回、朝6時の全員集合は二日間とも気功体操だった。田んぼの石夢舞台に揃った面々は、佐藤さんの指導で小一時間手足を動かし身体のツボを刺激しながら、うっすらと額に汗を浮かべた。不思議なことに終わったあとの皆さんは、おだやかにひきしまった善男善女に見えた。

膝や腰、ひじや肩などに持病を持つ皆さんも、それぞれに姿勢を正して自然の大気を吸い込み、丹田におさめて静かに吐き出すコツをのみ込んだようだ。

あとは、いかに続けることができるかどうかが課題である。佐藤さんいわく、“健康に生きるための残り時間を自己管理していかなければならない年代である”だけに、我われにとっても貴重な体験学習となった。

里山アート展の会場となる田んぼの稲は順調に育っている。当然、雑草の繁茂も激しい。草刈り部隊は線路側、阿賀野川沿いとエンジン音を響かせて大汗をかいていた。そんななか、鎌を手にせっせと草を刈る女性も見えた。水分補給と休息タイムを充分とりながらの力仕事で、田んぼ周辺はきれいに刈り上げられた。この清涼感は、都会では味わうことのできない田舎の魅力である。

里山アート展の会場となる田んぼの畦道は石畳が敷かれ、なるほどこれなら雨が降ってもカジュアルシューズで歩くことができる。但し、未完成であった。そこで、さっそく石畳班は炎天下で残りの作業と補修に取り組んだ。

大きな石を砕き、敷き詰めてモルタルを塗る。これもまた、過酷な肉体労働である。しかし、蛍の小川やメダカやドジョウの生息する三層の池など、いわゆるビオトープづくりは都会に限らず子供たちには格好の野外学習場となるだけに気を抜けない。

さらに、石夢工房に向かう上り斜面や磐越西線の車窓からアート展の会場を眺めるとき、田んぼの畦道に敷かれた石畳は緑の稲穂をとりまく白い曲線として、極めて斬新なデザイン効果をあげていることに気付く。

桃源の湯の脇に、「露天風呂ですか?」とよく聞かれる大きな池がある。以前はコイも泳いでいたのだが、亀裂が入ったのは東日本大震災の影響かもしれない。

棟梁を中心に、こちらの修理チームも4か所の亀裂の補修とモルタル塗装に汗を流した。最後の仕上げコーティングは、埼玉県の伊奈から棟梁の息子さんに助っ人参加していただいた。まさかの時は、防火用水ともなる池の補修は緊急を要していただけにひと安心である。

都市と田舎の交流を標榜するコスモ夢舞台はまた、地元のわげしょ(若い衆)の会とも交流を重ねている。今回も17日(日)の夜、4名の若者と地元の長老と懇親会で合流した。

里山アート展の開催を祝う「田んぼ夢舞台祭り」の協力や、わげしょの会が主催した「ふるさと雪蛍の舞」の共催などを語り合うことができた。魅力ある田舎づくりは、自分自身が楽しいと思うことを相手にも喜んでもらえるように工夫することからはじめようという合意もできた。

「NPOコスモ夢舞台塾」や「心と体のリフレッシュツアー」もいよいよスタートだが、被災地の青少年の夏休み受け入れをうたった「自然の中でリフレッシュしよう」企画がすでに満杯になったという。我われも声を掛け合い、ひとりでも多く豊実へ出向きたいとおもう。

今回、わたしはお会いすることができなかったが、コスモ夢舞台に若いスタッフ候補生があらわれたというニュースは本当に嬉しかった。近々、お目にかかれる日を楽しみにしています。

見えてきたことは、形を作ることではなく絆づくりの大切さである。