2017.07.31
豊実の夏
森紘一 

 第2回「奥阿賀・魅力ある野外舞台」の見学と8月8日に迫ったプレゼンテーションの打ち合わせを兼ねて、真夏の豊実を訪ねた。 

若い緑色がまぶしい稲に囲まれた田んぼの、いつもは里山アート展会場となる中央ステージは、鉄パイプとブルーシートで屋根が張られていた。天候不順の大雨に備えたにわかづくりだという。

13時にはじまったイベントでは、歌と踊り、和太鼓の合奏といった演目が次々に披露されていく。うだるような蒸し暑さの中で、演者も見物客も進行役の時崎さんも汗だくだった。 

そんなステージ奥の田んぼでは、ベトナム風の山高帽を被ったピンクとグリーンのTシャ姿の二人が田んぼに入り、黙々と雑草をとってはあぜ道に投げ上げている。ピンクが佐藤さんで、グリーンが台湾から逗留中のウーファーの青年であることに気づいた人はわずかかもしれない。

それはまさに、コスモ夢舞台のイベント会場にふさわしい光景だった。 

出場された和太鼓のリーダー室井さんは挨拶の中で、素晴らしい自然に囲まれ、こんな素敵なステージを用意していただいたことに感謝しますとコメントされていた。 

イベント終了後、音響設備や演奏器具、パイプやブルーシートのステージ装置もそれぞれの関係者、スタッフの手で片付けられていった。なかでも目立つのは、ブルーのジャージ姿の若者たち12名。目下、豊実の和彩館と古田邸で体験学習中の東京・江戸川の中学生たちである。彼らもまた、貴重なひと手だった。 

和彩館前の噂の空き家は、外観も変貌していた。内部の修理・修復も進んでいて、5月の連休の時とはまるで別の建物に見える。本日参加した会員の参加組4名は、大野さんとこちらに投宿させていただいた。

佐藤さんは先日、この二棟の建物を「展示館」と名付けたとHPで語っていた。さて、そのこころは何であろう。

ところで、10分という時間を制限されたプレゼンのリハーサルを、その夜「展示館」の大広間で、参加された皆さんが佐藤さんと一緒に確認した。佐藤さんの語りはよどみなく、見事に時間内に収まった。

あとは当日、コスモ夢舞台が佐藤さんを中心に一つになりきることだと思う。 

この夜、我われも多くのことを語り合った。この「展示館」はどうやら、里山アート展の室内展示場といった規模ではなく、コスモ夢舞台にとってもっと大きな役割を持つ建物となりそうな予感がする。 

禅の教えに“動中の工夫は静中に勝ること百千億倍”という言葉があるそうです。より多くの人が佐藤さんとともに、この空き家の修復にかかわり、知恵と工夫を重ねて、都市の人びとや海外の人びととの交流を図ることのできる多目的施設としても、また建物そのものもアート作品として完成させていきたいものです。

我われも、そんな楽しみを見届けたいという夢が広がってきました。