2015.05.12
役割を求めて
森 紘一 

 連休中の4日(みどりの日)早朝、豊実の杉林奥に広がる畑には、青空ながらひんやりとした空気が立ち込めている。そんななか、サルの被害から畑を守るため、ネットを張る作業に地元集落の人びとが集まっていた。この共同作業に、我われ7名も一緒に参加することになった。 

朝食後は、周辺の枯れ枝や雑草の清掃は女性陣が、国道側の杉林の清掃、整備を我われ男性陣が担当した。終了後佐藤さんから、集落の区長をはじめ、地元の皆さんからお礼の言葉をいただいたと、報告があった。 

我われは日ごろ、個人と地域が元気になることを願って、コスモ夢舞台の活動をしている。しかし、地域の人びととの共同作業となると、はじめての経験である。

わたしを含めて、関東首都圏方面からの仲間は、豊実を第二の故郷と思い定めているが、すでに大半は高齢者グループの仲間入りをしている。豊実に来るのはゴールデンウイークや「里山アート展」の時に限られてしまう。 

イベント開催時の季節だけとはいえ、豊実の自然や空気が気に入っている我われにとって、この二重生活は快適で、アートを軸とした地域つくりも楽しい。今回のように、地元の人びとと日常的な生活レベルでの関係性が生まれることは、さらに嬉しい。 

群馬と東京の二重生活を40年あまり続けている哲学者の内山節(うちやまたかし)さんは、「ローカル」とは「地方」ではなく「他者との関係性」だという。周りの人たちと自らの結びつきを出発点として、物事を考えることが「ローカリズム」だとも断言している。

佐藤さんも年初に、「地方創生に思う」と題した所感の中で、幸せ感とは(1)健康

(2)自然との共生、人との共生(3)やりがい生きがい を上げている。 

大切なことは、コスモ夢舞台のなかで自分の立ち位置を探すのではなく、集落との結びつきのなかで「他者のためになっている」という実感をつかむことではないだろうか。 

願わくは、コスモ夢舞台の仲間のように都会に住む人々がひとりでも多く地方に出向き、わずかでも逗留して、地域社会の人々と交流する。そんなところから「真の豊かさとは何か?」を問い直すことが、地方創生のスタートとなるのかもしれない。