2008.02.03
雪中のお参り
御沓 一敏

 佐藤賢太郎さんのお父上様の告別式に出席できなかったふくろう会員、森幹事長、大塚秀夫さん、鈴木隆雄さん、筆者の4名は関東に久しぶりに大雪をもたらした悪天候の中、車で豊実に向かった。
 久喜IC入り口から通行止めの表示が出ており、先が案じられたが、一般道路を通り、栃木ICから高速道路に乗ると、後は豊実に近づくほどスムースに運ばれた。雪に対する経験と普段の準備の差が歴然と出ているように感じられた。

 ご霊前にお参りした後、お母上様にご挨拶した。さすがにまだ、涙の痕は残されていたが、思いの外、お元気そうなご様子に、今春からの畑仕事も大丈夫だなとホッと胸をなでおろした。
  その後、マキ子さん、律子(妹)さんの心のこもったお清めのお料理をいただきながら、お父上様の生前の思い出に一頻り話が集中した。
  「……無くてぞ、人は恋いしかりける」とは源氏物語の昔より繰り返されてきた人間の行為と心理を言い表していると常々思っているが、佐藤さんの「親父との対話は殆どなかったが、息子のやることなすこと全てを黙って許してくれたお蔭で今の自分があり、コスモ夢舞台がある」という言葉に皆、しみじみと頷いていた。

 さらに、弔事を通して、今までにない出会いがあり、「改めて先祖の功績や好悪の姻戚関係等も分ったが、それら一切を含めて、皆が仲良くできる場所にしたい。これが、自分に与えられた使命のような気がする」という佐藤さんの発言にはいつもの力強さが戻っていた。
 そこで、また一つ「ヘイ(塀)を無くして、ヘイワ(平和)をつくろう」というスローガンが生まれた。

 いつしか、話は、今年の「コスモ夢舞台のシンポジウム」の内容に移っていた。
  中断
していた、「ギリシャからの手紙の足跡を訪ねるツアー」の復活、アマリアーダと阿賀町の姉妹都市仲介構想、東京オリンピックのギリシャ側の聖火ランナー・リオシス副市長の豊実招待、聖火台の作成等、佐藤さんの熱弁は止まるところを知らなかったが、凍結が心配される道路のことを考えて辞することにした。
  人間交流ではなく、人間直流の大切さを唱える古木節を思いださせる一時であった。(合掌)