2008.04.12
豊実への試運転開始
御沓 一敏

三郷(埼玉)へ戻ってから早くも5カ月が経とうとしている。どうしても、冬場の仕事は、シンポジウムのテープ起しをはじめ、パソコンを中心にしたデスクワークになりがちだ。

そろそろ豊実へ行くにあたって、ウォーミングアップを兼ねてリビングの床をフローリングに張り替えようかとおもっているところへ、また家内の「豊実でいくら建設作業をしても、家ではちっとも役に立たないという」愚痴がはじまった。
   そこまで言うなら、やってやろうじゃないかと啖呵を切ったものの、一人で全てをやった経験がないので、内心自信はない。DIYの本を読み、それでも不明なところは我らが棟梁大野さんへ電話して教えを請う。実はこれができそうだという気に成らせてくれた最大の要因である。

マル鋸だけはこの際、本格的なものを購入したが、後は家にあるものを使ってということになる。
    どうせやるならとのおもいで、床材だけは檜の無垢板を広さ分購入してくる。豊実で反ったり、曲がったりしたものを扱った経験があるので、それに比べれば楽なものだ。時間はたっぷりあるので、丁寧にと心がけた。
   リビングは多少の出っ張り、引っ込みはあるものの、14畳ほどの長方形なので、実質、3日で仕上がった。早速、大野さんへお礼と報告を兼ねて電話を入れる。「早かったね。これから夏場に向かって涼しくて良かったんじゃない」という声が返ってきた。

これに励まされ元気が出たところへ、さらに女房殿の「玄関もやって!」という鞭が入る。それではと手を出したものの、吹き抜けの階段や大黒柱がある場所なので、簡単にはいかない。ちょっとやっては模様、切り込み、向きなどあらゆることに気を配らねばならない。
    途中、この難しいところを考えて乗り越えたときに大きな喜びがあるんだということにも気付いた。前者より狭いにも関わらず結局、2日半を要した。久しぶりの朗働のため本当に疲れた。
   しかし、一人でやった達成感は何にも代え難い。「釘締め」の道具の存在すら知らなかった者が良くやったと一人でほくそえんでいる。

さらに、この作業にはおまけがついてくる。殆ど家のことを手伝ったことのない息子が、自ら庭の花壇を作りかえると言い出した。今では、生まれ変わった庭を毎朝、見ている息子の姿がある。

豊実では、すでに予約が入りはじめているという「体験学習」に来る子供たちへ「気付き、やる気、考える楽しさ、達成感」を今年も伝えてあげたいと思っている。