2010.11.23
晩秋の豊実
森紘一

1120日(土)快晴

くっきりと秋空にたたずむ磐梯山に見とれながら会津坂下に近づくと、常磐道はにわかに視界が利かなくなった。気温の急上昇で盆地一帯に濃霧が立ち込めたようである。クルマは徐行運転となったが、好天を保証されたようなもので気分はさわやかだった。

  例によって「おかえりなさぁい!」というマキ子さんに迎えられて、和彩館には10時過ぎに到着した。小春日和といえる陽ざしの中で、先着の大野さんはすでに作業にかかっていた。昼食をはさんで、里山アート展の作品撤収には佐藤さんと隆雄さん、小宮さん、地元の古山さんと下越酒造の佐藤社長も加わっていただいた。カカシの撤去と焼却は「若い衆の会」の3人衆が自主的に取り組んでくれて大助かりだった。

午後3時半から臨時の総会が和彩館で開かれた。三々五々と集まったメンバーは、関東から時崎さん夫妻、渡辺さん、大内さん、萩谷さん、郡山の大島さん、喜多方の塚原さん、地元から古山さん、山口さん、神田さん、山アさん、伊藤義孝さん、伊藤豊市さん、若い衆の会々長、遅れて駆けつけた森英夫さんの総勢22名だった。

佐藤さんから、今年の里山アート展や田んぼ祭りなどの総括と来年の活動計画が報告された。事務局からは各助成団体への報告書について説明があった。
   その後、新旧会員の紹介や挨拶などが続いた。NPO法人となったコスモ夢舞台の、これからの活動PRや宣伝方法などについても率直な意見やアイディアが交差した。

ひき続き5時過ぎから交流親睦会に入った。我らが棟梁大野さんの乾杯の声は、いつにもましてすっきりと晴れやかだった。
   円卓と二つの四角いテーブルには、山ア糀屋さん特製のにしんやイカの塩辛といった珍味も並び、喜多方の塚原さんが吟味した手巻きの寿司ネタとともに大好評だった。

喉も腹も充たされて、和やかな交流会は次第に宴たけなわとなっていった。高校の新任教師として、ともに机を並べて以来40年の森英夫さんからは、佐藤さんの教師ぶりや彫刻家への転身、ふくろう会発足の経緯が能弁に語られるなど話題は尽きなかった。

和彩館のスクリーンには、いつの間にか直近の田んぼ祭りや里山アート展の記録ビデオ、3月のギリシャツアーの思い出のビデオも流れ出し、はなやいだ歓声がとぎれることはなかった。秋の夜長を惜しむかのように、宴は延々と続いていった。

11月21日(日)快晴

 普段よりはゆっくりとした朝食の後、川沿いのキウイ棚に並んだ30本以上のタラの木の枝切りに出かけた。佐藤さんと5人掛かりでの作業ははかどった。大野さんと大内さんは、豊市さんの案内でキノコ狩りに出かけたままだった。今日も穏やかな日和で、その後6人組はふくろう会館の傷んだ板塀の取りはずし作業に廻ったが、汗ばむこともなかった。

 早めの昼食後は、紅葉狩を兼ねて阿賀町周辺をドライブしながら、絶景を楽しもうということになった。案何役の豊市さんは大のカメラ好きで、ビユーポイントを熟知していた。 

船戸大橋から即身仏全海上人で有名な観音寺を抜けて津川へ出る山道には、いくつもの絶景スポットがあった。そのすべてが絵ハガキのようだった。雪をかぶった飯豊連山も大日岳も眺めることができた。尾根の向うに遠く磐梯山を望むスポットにも案内してもらった。

ゆったりと広がる晩秋の山並みには、穏やかな陽ざしがあたたかく反射してまぶしかった。佐藤さんとマキ子さんもはじめての経験だそうで、我われ以上に感激の体だった。

「佐藤さんもマキ子さんも、いいところに住んでいますねぇ」
   「今まで忙しすぎて、こんな素晴らしいところがあるなんて知らなかった」

こんな愉快な会話も飛びかった。6台のクルマを連ねて、枯葉の舞う豊実の山道を走ったのも楽しい思い出となった。