2010.04.18
リオシスとの爆笑と感動の言葉
佐藤賢太郎

3月28日(日)

リオシスはユーモアある言葉を多く語りました。彼は「4年前6月サトウはアマリアーダに到着したが、彫刻する石がなかった。それはミスター古木が私と会ったとき、日本からの彫刻家が来る時期を書き間違えてそうなったのだろう。気が付いてみれば、私とミスターサトウだけがいた。サトウは言葉も通じないので、何だか分からなく心配そうな顔であった。私がギリシャのことわざにある‘古いサンダルは捨てろ’とギリシャ語でサトウに何度も言って笑うしかなかった」と言うと一同爆笑してしまった。

さらにリオシスの感動ある言葉には、希望や願いともいえるものがありました。きっと未来に夢を持って生きる彼の信念なのだろうと思った。私は素直にこの言葉に私の人生の夢を託そうと思いました。

彼は日本とギリシャの友好広場を作ろうと計画している。「そこにサトウ、と片桐の彫刻をおきたい。奥さんが許してくれるなら、来年の夏もう一度あまりアーダに来て、一ヶ月掛けて作品を作ってほしい」と言った。そして私を名誉市民にしたいとまでいったようである。これには一同拍手を送った。私は「えっ」と驚いた。さらに私が書いた体験記「ギリシャからの手紙」の本をもっと大判でギリシャ語に翻訳したいと言っている。しかも前文にリオシスの言葉を添えてと言っている、本当なのだろうか。

半信半疑であるが、思うにこんなことは人生にニ度とないことだろう。しかし私の体力や渡航費、滞在費など何の当てもない、無論無報酬の制作である。宿はリオシスの家に泊まれと言っている。これもすごいハードルである。あとは渡航費を工面するだけなのか。家内も収入もないことを覚悟で、やってみたらと言っている。人生はいつ終わるか分からない。だからどうなるか分からないが、挑戦してみたいと今は思う。それには、まず健康第一である。学校の教員を辞めたときのことを思えばできることである。人生死ぬまで夢創りに挑戦してみたい。

リオシスの奥さんヨアナ・リオシスさんは、奥さんと夏においでと何度も私に話しかけた。その奥さんが、私が家内を同伴したと知り、誰かに差し上げるための白金の指輪を急遽家内にプレゼントしてくださった。私など買ってあげたことのない指輪であった。リオシスは、私にはギリシャの豪華美術本を2冊くださった。そこに“私の友人サトウに愛を込めて”とギリシャ語と日本語で書いてくださった。これを参考に彫刻を作ってほしいと言っているようでした。とてもありがたかったのですが、日本に帰るまでこの本の重さには往生してしまった。しかし海外生活経験の少ない私と、どうしてこんな信頼関係になったのか不思議でならなかった。