2010.02.28
再びギリシャへ5
佐藤賢太郎

弥生3月、いよいよ仲間や知人とともにギリシャに旅立つ日が近づいてきました。こんなことはかつて考えられないことでした。発端はギリシャのシンポジウム参加でした。2006年2月大雪の年、奥会津書房の遠藤さんがギリシャ行きのシンポジウムに参加しませんかとわけの分からない夢のような話が舞い込んで参りました。

EU・ジャパンフェスト日本委員会によるプログラムでした。一ヶ月滞在して彫刻を制作、そしてその体験を「ギリシャからの手紙」というタイトルで本にしました。皆さんそれを読んで、「面白い、行ってみたい」ということでギリシャ行きが企画されました。一般にあるようなツアーではなく、本に出てくる方と会いたいというツアーです。通訳はいるものの、私がガイド役でもあります。泊まるホテルは決まっていますが、あとはみんなフリーです。アクロポリスやオリンピア、考古学博物館は見学しますが、その場その場で決めてゆきます。ビキニのきれいな女性は海岸にいません、その代わりお土産に美しい石を拾いましょう。何といっても、アマリアーダの副市長リオシスさんに会うことがメインイベントです。ところが昨年からコンタクトを取っていましたが、連絡が全然取れない状態でした。別れのとき、私にぜひ再度来てくださいといった親しみの込めた言葉の意味がどうにも分からないギリシャ人です。こうなったら自宅に押しかけて行こう決めておりました。結果がどうであれ、約束をするということについてギリシャ人と日本人の違いを目の当たりにすることになるでしょう。その実態を見ていただくだけでも、面白いツアーではないかとイメージしておりました。これを面白いと共感する方だけがこのツアーに参加する資格があるのでしょう。至れり尽くせりではありません。これは作品を作るのと共通なところがあります。もう、皆さんはこの船に乗ってしまったのです。

ところがここで思いがけない朗報が舞い込みました。当地の副市長リオシスさんと旅行会社の平島さんがコンタクトを取れたというのです。彼が言うには、はじめは何度連絡してもなしのつぶてであった、これがギリシャ流のようです。朗報というのは、私たちのために歓迎イベントを行いたいと伝えてきたそうです。「すごいことです」と、平島さんは興奮気味に電話してきました。普通の旅行では決して実現しないことです。どうですか、今からこのツアーに参加してみたいとは思いませんか、もう二度とないツアーになりますよ。予測が付かないが可能性のある旅行になるでしょう。

本当かどうかは行って見なければ分かりませんが、信じてよさそうです。2006年、私がまるで夢のような話に乗りギリシャに行ったときと同じです。リオシスさんは地元では相当な実力者で有名人らしいです。そういえばあの時、店のボスがリオシスさんをゴットファザーと言っていました。私も当地では結構有名人らしいですが、信じられません。まったく素知らぬ態度をとられるかもしれませんが、それも楽しんでみる旅です。

ともかくあちらへ行ったら、皆さんそれぞれ現地のかたがたと話をすることになります。何かお土産になるものを持参すると良いと思いますが、土産とは精神的に満足させることです。それを考えて参加してほしいと思います。私たちは日本人の代表であり親善大使でもあります。政府派遣ではなく、自前派遣の大使になっていただきます。肩書きはないもののこれが本物です。皆さんギリシャ語を12個覚えたでしょうか。イベントのとき本当に使えることが現実となってきました。覚悟してください、前触れとは全然違うこともあります。憤慨してはいけません。そこは日本でありません、何の準備もないかもしれないのです。

先々まで分からなくても、今、一つでもひらめくことがあればそこで行動する。すべて分かってから行動するでは動けません。過去、私はそうして歩んできました。私は飛行機に乗ってしまうまでが緊張感です。後は何とかなります。無事その日が迎えられますように、と祈っています。

「動いてこそ感動はやってくる。」この気構えでギリシャへ参りましょう。