芝浦工業大学学長 村上雅人様

突然の手紙で失礼いたします。

   私は雪を電気エネルギーに変換すべく、技術者になろうと希望を抱いて、芝浦工業大学に入りました。しかし専門の勉強もせず、それ以外の道を迷い歩きました。今は彫刻家として生きています。 

今回、期せずして母校(東大宮)で私が講演をすることになりました。私は彫刻を通して、元芝浦工業大学学長であられた小口先生と親交を結ばせていただいております。

さて、私の講演にあたり、以前行われた村上先生のご講演の内容を拝見させていただきました。感想は、同感することばかりでありました。

冒頭「勉強だけではひとになれない」とおしゃいました。そして高校時代に留学してよかったこと、そして誇りをもつべき日本人についても話をされました。私の郷里である新潟県阿賀町豊実は過疎の集落ですが、この地を探して海外12か国からウーファーが来ます。そして我が家に滞在し、さまざまなことを手伝います。私と生活を共にして、私も学び、彼らに本物のマナーも伝えます。そして私の生き方を見せます。これが理想的な贅沢な暮らしで、時代の先端を生きていると彼ら若者たちに言います。彼らは感動してくれます。 

また村上先生は、何よりも人材育成の大切さに触れられておられます。我が家には、これからの日本を背負う中学生も体験学習に来ます。彼らに挨拶をすることの大切さ、自ら考えること、食、友、夢について話しますと素直に受け入れられるのです。心が通じるのですね。それは彼らの返礼の文章からも感じます。

 ところで、「豊かな人生とは何か」が私の講演内容ですが、そのことにも先生は触れられておられました。また「国を滅ぼすには武器はいらない、教育を駄目にすればよい」とおしゃしいました。その通りだと思います。私はマスコミをはじめ、教育には反省すべき点が多々あると思います。最後に先生は、芝浦工大はどのような人材育成を目指すかについて触れておられました。私も、そう思いました。

私の講演は1時間程度ですが、先生のご講演に共通するところが多くあり、大変嬉しくなりました。 

                   平成29年6月13日
                                                                             佐藤賢太郎


2009.12.