2010.02.21
個展会場で感じたこと
森 紘一

 個展会場で赤いマークの付いた作品を眺めていると、これはどんな方が求めたのだろうと想像をめぐらせてしまう。佐藤さんの作品は、小動物の愛くるしい表情や生きいきとした柔らかいそのフォルムが人気だが、魅力はそれだけではないようだ。

 たとえばBさんは、「作家の創造性とは何とも凄いものだ。佐藤さんが豊実で忙しくなさっている事柄のすべてが作品に凝縮されて表れてくるのだということを、あらためて納得させられた」と投稿された個展の感想文の中で述べている。

 一方、作家である佐藤さんはHPの「個展の日々」シリーズ4で、喜多方からわざわざ上京され遮光器土偶をモチーフとした『笑い人』を購入したBさんについて、「私の生き方を買ってくださっているのではないかと思う」と述懐している。

これは、見事なキャッチボールである。同時にこれは、作家と作品とコレクターの理想的な関係を象徴しているように、わたしには思える。

個展初日の2月3日(水)、美術評論家の藤島俊会先生がお見えになった。6年前の第一回里山アート展のシンポジウムで、「アートで何ができるか。作家の社会的役割は何か?」といった文脈の中で、「佐藤さんの社会的活動に大いに期待しています」と結ばれた先生の力強い言葉が懐かしく思い出される。

しばらくお二人で対談されたあと、作品を写真に収めツーショットの記念写真を撮ってお帰りになった。佐藤さんによると、コスモ夢舞台冊子のVol.3に寄稿していただくことになったという。

「石彫作家 佐藤賢太郎の個展」とコスモ夢舞台は、これからも我われにとって限りない楽しみであり、果てしない有機的な夢の連続である。三年に一度の日本橋髙島屋はもとより、佐藤さんの個展はすべてコスモ夢舞台のイベントとしてチームプレーで充実をはかっていきたいものである。