2011.07.04 復活した蛍 佐藤賢太郎
郷里に帰ったとき 蛍は消えていた
遠くの記憶に 田んぼでいっぱい蛍が舞っていた
街灯もなく闇夜に 蛍は星のごとく光っていた
山川はまっていたが ふるさとの原風景は消えていた
夢を描き ここに蛍を呼びもどそうと
蛍の棲家をつくる年月かさねた今日
蛍はネオンサインのよう輝き宙を舞っている
人間は合理性ばかり優先して ふるさとの生き物たちを消してきた
今日も蛍の舞を見に行く それはゆっくり流れる人生のときである