2007.10.14
不便な中での智恵

「ギリシャからの手紙」を読んで想像するに、現代の桃源郷・豊実は、昨年、佐藤さんがシンポジウムに参加したとき滞在したクル-タの街と差ほど条件は変わらないのではないかと思うときがある。
郵便局こそ近くにあるので助かるが、ちょっと買い物をするにも、西会津(福島県)へ車で25分くらい、津川(新潟県)へ車で40分近く掛る。
また、地元人から方言で話されると、日本語圏なのに、殆ど分らないときがある。

世の中には、想像できないようなことが時として起こる。
佐藤さんが近くの郵便局へ行く間に乗った自転車のチューブのバルブというのであろうか、この部品が締め付けるネジごと飛んで、パンクしたような状態になった。
これが、車であれば大変なことになるところであったが、自転車であったがために救われた。
なぜだろうと思ったが、この際、原因究明より、どうするかの方が先である。

ひょっとすると、お助けマンのFさんなら、中古品のストックを持っているかも知れないと思い、ドアをたたいた。
車のチューブならあるというので、試してみたがサイズが合わない。
そこで、諦めないのが人情深いFさんである。薄暗くなっていたが、これから車で、Kさんの廃品回収品置き場へ行こうということになった。
先日、大きなトラックが2台、回収のために来ていたのを目にしていたので、半ば諦めていたが、現場についてみると、ありがたいことに、中古の自転車だけが残されていた。また、こんなことも、あるかもしれないとおもい、2個ばかり頂戴してその場を去った。

先日、佐藤家の草刈機のエアーキャップのカバーの部分が壊れているのを目聡く見つけたFさんが、Kさんならいろいろな中古品を持っていると話していたが、早速、2人してお出でになり、修理をしてくれた。

里山アート展の飾りつけは、大方の作品が重量級なので、男性が5~6人いないと移動ができない。
そこで、Kさんが中古のコンバイン(稲刈機)を改良して搬送機を作ってくれた。
Kさんが、どうも筆者に操作方法を練習しろと言っているようなので、手にしてみる。リモコンのおもちゃの親方を操作しているようで、おもしろかったが、果たして、田んぼの中でどれだけの力を発揮してくれるのだろうか。
それにつけても、この運搬機の保管場所を作る下屋出しの建設作業があるのだろうか、まだ、場所はあるようだが……。

こうして、厳しい冬という気象条件が食の保存法を編み出したように、山奥という地理的条件がストック、再利用と人間関係づくりという智恵を生み出したのであろう。

Fさんの2作目「夢舞台の椅子」の据え付けと作品紹介用のプレートつくりも終った。
いよいよ明日から、1ヶ月間、「里山アート展」の開催である。(御沓一敏)