2009.02.06 
山間地に生きる人
佐藤賢太郎

家内は中・高校生の体験学習民泊をしていることで、同じ阿賀町上川村の奥地に住むWさんと知り合いになった。Wさんに、家内は目薬の木を分けて欲しいとお願いしていました。お願いしてから一年、ようやく本日我が家に届けに来てくれた。

以前東京で暮らしていたが、親が高齢になり郷里に戻ってきたそうです。どのように暮らしてゆくか考えたとき、農業一つでは生きてゆけないので、山菜売りや体験民泊受けいれなど、いろいろ組み合わせをして生計を立てることにしたそうです。

さて、目薬の木から派遣法、農について、山について、食についてと話が弾んだ。日本の食糧自給率が40パーセントと言われているが、それは北朝鮮と同じ状態であると言われた。先日、本当は自給率20パーセント台とも聞いていたが、北朝鮮と同じ状態と聞くと驚きである。砂漠の国ではない日本が、ほとんど外国に頼っているのはおかしい。

  Wさんは山に入って木を切る仕事もするそうですが、山林政策の失敗が今にあると言っていた。炭焼きもなくなり山は荒れてしまう、適当に木を伐採してこそ新しい木が育つそうです。山の上に雑木林があって山のふもとにその栄養分をいただく杉がある、そうした区分けが大切という。

昔、杉の木一石(太さ30センチ×3メートル単位)で5000円、伐採手間賃一日500円だったそうです。当然、山林を持っている方は裕福で伐採して生計がなりたったわけです。山の手入れもできたのです。現在、伐採して運んで一石2500円だそうです。伐採料は地理的条件によるが、人件費が一日何万円にもなる。木を売りたくとも大赤字になり誰も手を出せない。間伐しなければ山林は荒れてしまう。しかし、ほとんどはどうしょうもなく放置しているのが日本の現状である。かつて国策として、杉を植えることを奨励して山のてっぺんまで植えさせてしまった。栗やどんぐり、木のみが食料であった動物たちは住みかもなくなってしまった。動物や魚たちだけでなく、人間にも災害をもたらすだけで何もいいことはない。今、ようやく山林保全による見直しで、わずかな補助金が出て伐採のしごともあるそうです。今と同じく、政治を司るリーダーの貧困と選ぶ我々の見識が問題だったようです。        

今年は、山に暮らす識者でもあるこのような方を招いて教えを請うシンポジウムをしたいと思った。
  加えて今年は、和彩館で珍しい目薬の木をはじめ山間地で昔から珍重されていたものも物産として少量だが店頭に並べたい。こうして、徐々に人間関係が広がっていくのだという思いがする。早速私も老眼が進むので、目薬の木を煎じて飲みました。さて、その効果はいつ出てくるか楽しみです。